無痛分娩の割合は13.8%|都道府県で4倍近い差がある
無痛分娩の実施率は2020年の8.6%から2023年に13.8%へ増えました。ただし都道府県別に見ると最高と最低で4倍近い差があります。公的統計にもとづく地域差の実態と、その差が何によって生まれているのかを整理しました。
執筆: 産婦人科と小児科の教科書 編集部
厚生労働省「令和5年医療施設(静態・動態)調査」によると、2023年9月の1か月間に静岡県内で行われた分娩は1,597件で、このうち帝王切開を除く無痛分娩は125件でした。割合は7.8%で、全国平均13.8%の半分強です。都道府県では47中24位で、ちょうど真ん中にあたります。
| 項目 | 静岡県 | 全国 |
|---|---|---|
| 分娩件数(2023年9月) | 1,597件 | 59,026件 |
| うち無痛分娩(帝王切開を除く) | 125件 | 8,140件 |
| 無痛分娩の割合 | 7.8% | 13.8% |
| 無痛分娩を実施した施設数 | 16施設 | 602施設 |
静岡県は中位の県ですが、県全体の数字は平均で、県内のどこに住むかによって実際に通える選択肢は大きく変わります。静岡県は東西に長い県だからです。このコラムでは、その距離の問題を軸に整理します。なお、1か月分の件数なので、月ごとの変動はあります。詳しくはデータで見る無痛分娩と静岡県の出産・子育てデータをご覧ください。
2020年の同じ調査と比べると、実施施設の数は大きく増えています。
| 項目 | 2020年9月 | 2023年9月 |
|---|---|---|
| 無痛分娩の割合 | 5.0% | 7.8% |
| 無痛分娩の件数 | 94件 | 125件 |
| 実施した施設数 | 8施設 | 16施設 |
実施施設は8から16へ倍増しました(全国は505から602)。一方、割合は5.0%から7.8%へ2.8ポイントの上昇で、全国の5.2ポイントには届かず、伸び幅は都道府県で27位です。
施設数が倍になったのに件数は94件から125件にとどまったため、1施設あたりに均すと、2020年は約12件、2023年は約8件になります。1か月分から出した平均ですが、新たに実施に加わった施設が、まだ小さな規模で始めている可能性を示しています。「対応する施設は増えた。ただ、県全体の分娩に占める割合はまだ半分強にとどまる」というのが、この3年の静岡県です。
2023年9月の無痛分娩125件の内訳は、診療所が74件(59.2%)、病院が51件(40.8%)で、診療所での実施が病院を上回ります。
探すときの実務としては、大きな病院の産科だけでなく、地域の産科クリニックを候補の中心に置いてよいということです。どちらが良いという話ではなく、件数の分布の事実です。診療所は施設ごとに体制や運用が異なるため、麻酔を担当する医師の体制や、対応できる曜日・時間帯は、個別に確認しておくと見通しが立ちます。
当サイトが厚生労働省「出産なび」に掲載されている病院・有床診療所(助産所を除く)を集計したところ(2026年9月時点の掲載情報)、静岡県内は52施設(病院23・診療所29)でした。
市別では浜松市10・静岡市10・沼津市4・富士市4・焼津市3・掛川市3・磐田市2・伊東市2が上位です。浜松市と静岡市が各10施設で並び、2市で県内の38.5%を占めます。京都や宮城のように県庁所在地へ一極集中するのではなく、県の西側と中央に二つの拠点がある二極の形です。
上位8市のうち、東部の沼津市・富士市・伊東市は合計10施設、中部の静岡市・焼津市は13施設、西部の浜松市・掛川市・磐田市は15施設です。東西に長い静岡県では、東の端と西の端では通える施設がまったく違います。東部の人が浜松市の施設を選ぶ、西部の人が静岡市の施設を選ぶというのは、通院の回数を考えると現実的でないことが多いでしょう。
なお、この52施設は「出産なびに掲載されている病院・診療所」の数で、前の章の「無痛分娩を実施した施設16」とは出典も定義も違います。割り算はできません。まず静岡県の産婦人科を探すページで、通える範囲にどの施設があるかを確認してください。
県内に通える対応施設が見つからない、または少ないときは、隣県も候補に入ります。静岡県の東部は神奈川県、西部は愛知県と生活圏が接しています。隣県の状況は次のとおりです(2023年9月)。
| 県 | 無痛分娩の割合 |
|---|---|
| 神奈川県 | 22.4% |
| 愛知県 | 15.9% |
| 全国 | 13.8% |
| 静岡県 | 7.8% |
神奈川県は静岡県の3倍近く、愛知県も2倍の割合です。県ごとの探し方は神奈川県の無痛分娩と愛知県の無痛分娩にまとめています。
ただし、割合の高い県のほうに行けば解決する、という単純な話ではありません。県外の施設を考えるときは、次の点を確認します。
どれも施設ごとに運用が異なります。医学的なことは、分娩予定の施設やかかりつけ医にご相談ください。
主な情報源は次の3つです。
電話では、日程を決めて行う計画無痛分娩のみか陣痛が始まってからも対応するか(計画無痛分娩の流れ)、初産・経産の条件、追加費用、分娩予約の締切を確認します。静岡県のように県内の移動距離が長い地域では、これに加えて自宅から分娩施設までの所要時間と、夜間や休日の連絡・移動の手順も聞いておくと安心です。見つからないときの進め方は無痛分娩ができる施設が見つからないときに、分娩施設そのものが遠い場合は分娩施設が近くにない地域の産院選びにまとめています。
無痛分娩の費用は通常の分娩費用への追加分で、数万円から十数万円程度の設定が多く見られます。出産育児一時金(原則50万円)は全国共通で使えます。
静岡県内で無痛分娩費用そのものを助成している県・市町村は、当サイトが2026年10月に確認した範囲では見当たりませんでした。助成制度は年度替わりに新設されることがあるため、お住まいの市町村の公式サイトか母子健康手帳の交付窓口で最新の情報をご確認ください。調べ方の手順は無痛分娩の助成金・補助金にまとめています。
参考として、無痛分娩の費用ではありませんが、距離の問題に関わる制度が静岡市にあります。静岡市は「居住地から最も近い分娩施設(病院・助産所)までの移動に、概ね60分以上を要する妊婦」を対象に、分娩のための交通費(最大1往復分)と宿泊費(最大14泊分、1泊あたり実費額から2,000円を引いた額で上限11,100円)を補助しています。申請は分娩の翌日から1年を経過する日までです。対象や金額は変わるため、静岡市の公式ページで最新の内容を確認してください。
まとめると、静岡県では「自分の住む地域から通える範囲」を最初に確定させ、その中に対応施設がなければ県境の向こうや里帰りも含めて早めに決めるという進め方になります。いまが妊娠何週かは出産予定日・妊娠週数の計算で確認できます。
本記事は制度・費用・選び方に関する一般的な情報の整理であり、医学的助言ではありません。個別の症状・治療については、かかりつけ医・受診先の医療機関にご相談ください。制度・金額は記事内記載の時点の情報です。
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