無痛分娩の割合は13.8%|都道府県で4倍近い差がある
無痛分娩の実施率は2020年の8.6%から2023年に13.8%へ増えました。ただし都道府県別に見ると最高と最低で4倍近い差があります。公的統計にもとづく地域差の実態と、その差が何によって生まれているのかを整理しました。
執筆: 産婦人科と小児科の教科書 編集部
厚生労働省「令和5年医療施設(静態・動態)調査」によると、2023年9月の1か月間に熊本県内で行われた分娩は1,159件で、このうち帝王切開を除く無痛分娩は263件でした。割合は22.7%で、全国平均13.8%を大きく上回り、47都道府県のなかで3位です。
| 項目 | 熊本県 | 全国 |
|---|---|---|
| 分娩件数(2023年9月) | 1,159件 | 59,026件 |
| うち無痛分娩(帝王切開を除く) | 263件 | 8,140件 |
| 無痛分娩の割合 | 22.7% | 13.8% |
| 無痛分娩を実施した施設数 | 13施設 | 602施設 |
2020年の調査では9.2%(115件・12施設)でした。3年で13.5ポイント上昇し、伸び幅は全国1位です。全国平均の伸びは5.2ポイントなので、およそ2.6倍のペースで増えたことになります。件数も115件から263件へ増えています。調査は3年ごとで、件数は9月の1か月分です。詳しくはデータで見る無痛分娩と熊本県の出産・子育てデータをご覧ください。
九州・沖縄の各県の割合(2023年9月)を並べると、熊本県は最も高くなります。
| 県 | 無痛分娩の割合 |
|---|---|
| 熊本県 | 22.7% |
| 鹿児島県 | 18.7% |
| 福岡県 | 15.4% |
| 大分県 | 8.6% |
| 宮崎県 | 6.9% |
| 長崎県 | 4.4% |
| 沖縄県 | 4.4% |
| 佐賀県 | 0.6% |
九州で人口が最も多い福岡県(福岡県の状況)よりも、割合は7.3ポイント高い結果です。一方で、この割合は「どの施設でも当たり前に受けられる」ことを意味しません。割合は分娩に占める件数の比率で、多いのは件数であって、施設数ではないからです。
熊本県で2023年9月に無痛分娩を実施した施設は13で、2020年の12施設とほぼ同じでした。全国の602施設と比べると、件数の伸びほど施設の数は増えていません。1施設あたりに直すと、熊本県は263件を13施設で扱っており、1施設あたり約20件です(全国は8,140件を602施設で、約13.5件)。件数が一部の施設に集まっている構造だと読めます。
無痛分娩263件の内訳は、病院が188件(71.5%)、診療所が75件(28.5%)でした。九州のなかでは診療所での実施が目立つ福岡県(福岡県の状況)と対照的に、熊本県は病院に件数が寄っています。
当サイトが厚生労働省「出産なび」の掲載情報を集計したところ(2026年9月時点の掲載情報)、熊本県で掲載されている病院・有床診療所は28施設で、内訳は病院9・診療所19でした。つまり、施設の数では診療所が多く、無痛分娩の件数では病院が多いという二重の構造です。なお「出産なび」の掲載施設数と、調査で無痛分娩を実施した施設数(13)は、数え方の違う別の数字です。
探すときは、県の割合の高さより、「通える範囲の病院が無痛分娩に対応しているか」「診療所の場合は個別に対応の有無を確認する」という2段階で見るのが現実的です。
同じ「出産なび」の集計で、熊本県の28施設の所在地は熊本市が12施設(42.9%)と4割強を占めます。そのほかは八代市3、天草市2、菊陽町2、人吉市2、水俣市1、益城町1、宇城市1などです。
県南の八代・人吉・水俣、そして島しょ部を含む天草は、掲載されている施設が数える程度です。無痛分娩の実施施設が13にとどまるなか、これらの地域では通える範囲に対応施設があるとは限りません。熊本市まで通える距離かどうか、健診は近隣の施設で分娩は別の施設という形がとれるか(セミオープンシステム)を、早めに確認しておくと選択肢が広がります。
里帰り出産で熊本県に戻る場合は、実家の所在地によって状況が大きく変わります(里帰り出産の時期と転院)。通える範囲の施設は熊本県の産婦人科を探すページで、市区町村ごとに確認できます。分娩施設が近くにない地域の考え方は分娩施設が近くにない地域の産院選びにまとめています。
主な情報源は次の3つです。
電話では、日程を決めて行う計画無痛分娩のみか陣痛が始まってからも対応するか(計画無痛分娩の流れ)、初産・経産の条件、追加費用、分娩予約の締切を確認します。件数が特定の施設に集まりやすい地域なので、月にどのくらいの件数を扱っていて、予約枠に余裕があるかも聞いておくと見通しが立ちます。対応の可否や麻酔の方法など医学的なことは、分娩予定の施設やかかりつけ医に相談してください。探し方の全体像は無痛分娩ができる施設が見つからないときにあります。
無痛分娩の費用は通常の分娩費用への追加分で、数万円から十数万円程度の設定が多く見られます。統一基準はないため、施設ごとに確認してください。出産育児一時金(原則50万円)は全国共通で使えます。
熊本県内で無痛分娩費用を助成している県・市町村は、当サイトが2026年10月に確認した範囲では見当たりませんでした。無痛分娩に特化した助成は、東京都が2025年10月に始めた制度(上限10万円)が知られていますが、これは都内に住民登録がある人が対象で、県外の人は使えません。助成制度は年度替わりに新設されることがあるため、お住まいの市町村の公式サイトか母子健康手帳の交付窓口で最新の情報を確認してください。調べ方は無痛分娩の助成金・補助金にまとめています。
まとめると次の順番です。
熊本県は割合が高く、この3年の伸びも全国で最も大きい県です。ただし、実施施設は13で、件数の多くは病院が担っています。県の22.7%という数字より、自分が通える範囲に何があるかを起点に動いてください。いまが妊娠何週かは出産予定日・妊娠週数の計算で確認できます。
本記事は制度・費用・選び方に関する一般的な情報の整理であり、医学的助言ではありません。個別の症状・治療については、かかりつけ医・受診先の医療機関にご相談ください。制度・金額は記事内記載の時点の情報です。
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