子どものインフルエンザ予防接種|任意接種の費用・回数と自治体の助成

執筆: 産婦人科と小児科の教科書 編集部

季節性インフルエンザの予防接種は、予防接種法にもとづく定期接種の対象が65歳以上などに限られており、子どもの接種は任意接種にあたります。費用は原則として自己負担ですが、多くの市区町村が子どもへの助成を設けています。13歳未満は2回接種のため、流行期から逆算した予約が必要です。制度と費用、受け方を整理します。

子どもの接種は「任意接種」にあたる

季節性インフルエンザの予防接種は、予防接種法上はB類疾病の定期接種に位置づけられています。ただし定期接種の対象になるのは、65歳以上の方と、60〜64歳で心臓・腎臓・呼吸器の機能などに一定の障害がある方です。

つまり、子どもの接種はこの定期接種の枠には入らず、任意接種にあたります。

定期接種(B類疾病)任意接種
対象65歳以上、60〜64歳で一定の障害がある方それ以外(子どもを含む)
費用市区町村が公費で一部または全額を負担原則として自己負担
健康被害が生じたときの救済予防接種健康被害救済制度医薬品副作用被害救済制度(PMDA)

定期接種と任意接種の違いは費用だけではなく、健康被害が生じたときの救済の枠組みも異なります。仕組みの全体像は子どもの予防接種の費用で整理しています。

費用は施設ごとに違う。自治体の助成があるかを先に確認する

任意接種のため、料金は医療機関がそれぞれ設定します。同じ地域でも施設によって金額が違うのが通常で、公定価格はありません。

一方で、多くの市区町村が子どもへの助成を設けています。助成のかたちは自治体によって異なり、次のような違いがあります。

  • 対象年齢:就学前まで、中学生まで、高校生年代まで、など
  • 助成の額:1回あたり定額の補助、自己負担なし、など
  • 回数の上限:1シーズンに1回まで、2回まで、など
  • 受け方:委託医療機関で受けた場合のみ助成、といった条件が付くことが多い

とくに注意したいのが最後の点です。助成は「自治体が委託している医療機関で受けること」が条件になっていることが多く、里帰り先や他市区町村で受けた場合は、いったん全額を支払って後から払い戻す(償還払い)手続きが必要になることがあります。里帰り中に受ける予定がある場合は、出発前に手続きの方法を確認しておくと確実です。

助成の有無・内容は毎年見直されます。お住まいの市区町村の案内で、その年の内容を確認してください。

13歳未満は2回。年齢で回数と量が決まっている

接種の回数と1回あたりの量は、年齢によって定められています。

年齢1回量回数
生後6か月以上3歳未満0.25mL2回
3歳以上13歳未満0.5mL2回
13歳以上0.5mL1回

接種を受けられるのは生後6か月からです。厚生労働省のQ&Aでは、2回接種する場合の間隔について、1回目と2回目のあいだを1〜4週間あけること、免疫の面では4週間あけることが望ましいと説明されています。また、1回目の接種時に12歳で、2回目までに13歳になった場合は、12歳として2回接種するとされています。

実際の間隔や回数は、接種を受ける医療機関の案内に従ってください。効果や副反応については、接種の前に医療機関で説明を受けたうえで判断することになります。

流行期から逆算すると、1回目は10〜11月

厚生労働省は、日本の流行シーズンを例年12月〜3月としており、Q&Aでは12月中旬までに接種を終えることが望ましいとしています。

13歳未満は2回接種で、しかも1回目と2回目のあいだに間隔が必要です。ここから逆算すると次のようになります。

時期やること
9月下旬〜10月接種できる施設と自治体の助成を確認し、予約を取る
10月〜11月上旬1回目の接種。同時に2回目の予約も取る
11月〜12月中旬2回目の接種

予約の受付開始は施設によって違い、9月中に始まるところもあります。きょうだいが複数いる場合は、必要な枠の数が一度に増えるため、早い段階で日程をまとめて押さえておくと動きやすくなります。

乳幼児健診や他の予防接種と時期が重なることもあります。年間の予定は乳幼児健診のスケジュールとあわせて組み立てると、抜けが出にくくなります。

経鼻タイプのワクチンもある

注射のほかに、鼻にスプレーする経鼻弱毒生ワクチンがあります。2023年3月に薬事承認され、2歳以上19歳未満を対象とするワクチンとして使われています。こちらも任意接種です。

取り扱っているかどうかは医療機関によって異なり、費用も施設が設定します。自治体の助成の対象になるかどうかも自治体ごとに扱いが分かれるため、受けたい場合は、取り扱いの有無・費用・助成の対象かの3点を事前に確認しておくと確実です。

どちらのワクチンが適しているかは、年齢や体質、その年の体調によって変わります。医療機関で説明を受けたうえで判断してください。

どこで受けられるかを調べる

接種を受けられるのは、自治体が委託している医療機関が中心です。子どもの場合は小児科のほか、かかりつけの内科で受けられることもあります。

当サイトが厚生労働省の公的データから集計したところ、全国で小児科を標榜する施設は17,388あり、そのうち土曜に診療しているのは79.2%、日曜は6.7%でした。予約が取りにくい時期のため、平日と土曜のどちらで受けるかを先に決めておくと予約が進めやすくなります。

お住まいの地域の小児科は全国の小児科を都道府県から探すから確認できます。掲載は公的データにもとづくもので、当サイトが特定の施設を推薦するものではありません。予防接種を実施しているか、助成の委託医療機関にあたるかは、自治体の一覧と各施設の案内でご確認ください。

接種の枠を専用の時間帯に設けている施設もあります。かかりつけを決めるときの観点はかかりつけの小児科の決め方にまとめています。

受ける前に確認しておきたいこと

予約の電話をする前に、次の点を手元にそろえておくと1回で話が済みます。

  • お住まいの市区町村の助成の有無・対象年齢・回数の上限
  • その施設での料金(1回あたり)と、助成の委託医療機関かどうか
  • 子どもの年齢から決まる接種回数
  • 母子健康手帳・健康保険証・子ども医療費の受給者証の持参の要否
  • 2回目の予約を同時に取れるか

子ども医療費助成は自治体によって対象が異なりますが、任意接種は医療費助成の対象外となるのが一般的です。仕組みは子ども医療費助成は自治体で違うで整理しています。

接種後に体調の変化があったときの相談先は、まずは接種を受けた医療機関です。夜間や休日であれば#8000などの相談窓口も使えます。

よくある質問

子どものインフルエンザ予防接種は無料ですか?
定期接種の対象は65歳以上の方などに限られており、子どもの接種は任意接種にあたるため原則として自己負担です。ただし多くの市区町村が子どもへの助成を設けており、内容は自治体によって異なります。
何歳から受けられますか?
生後6か月から受けられます。生後6か月以上3歳未満は1回0.25mLを2回、3歳以上13歳未満は1回0.5mLを2回、13歳以上は1回とされています。
2回目はどれくらい間隔をあけますか?
厚生労働省のQ&Aでは、1回目と2回目のあいだを1〜4週間あけること、免疫の面では4週間あけることが望ましいと説明されています。実際の間隔は接種を受ける医療機関の案内に従ってください。
いつまでに接種を終えるとよいですか?
厚生労働省は日本の流行シーズンを例年12月〜3月とし、12月中旬までに接種を終えることが望ましいとしています。13歳未満は2回接種で間隔も必要なため、1回目は10月から11月上旬を目安に考えると組み立てやすくなります。
里帰り先で接種した場合も助成は受けられますか?
自治体の助成は委託医療機関で受けることが条件になっている場合が多く、他市区町村で受けたときはいったん全額を支払って後から払い戻す手続きが必要になることがあります。出発前にお住まいの市区町村へ確認してください。
鼻にスプレーするタイプのワクチンもありますか?
経鼻弱毒生ワクチンが2023年3月に薬事承認され、2歳以上19歳未満を対象に使われています。任意接種で、取り扱いの有無や費用は医療機関によって異なります。

本記事は制度・費用・選び方に関する一般的な情報の整理であり、医学的助言ではありません。個別の症状・治療については、かかりつけ医・受診先の医療機関にご相談ください。制度・金額は記事内記載の時点の情報です。

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