子ども医療費助成は自治体で違う|対象年齢・自己負担の調べ方と県外受診の払い戻し

執筆: 産婦人科と小児科の教科書 編集部

子ども医療費助成は、健康保険の自己負担分を自治体が補助する制度で、こども家庭庁の調査(2025年4月1日時点)では全ての都道府県・市区町村が実施しています。ただし対象年齢や自己負担の有無は自治体ごとに異なるため、お住まいの制度の調べ方と、里帰り中など県外で受診した場合の払い戻し(償還払い)を整理しました。

制度の全体像:健康保険の自己負担分を自治体が補助する

子どもが医療機関や薬局にかかったときの健康保険の自己負担は、就学前で2割、小学生以上で3割です。この自己負担分を市区町村が補助するのが子ども医療費助成で、こども家庭庁の調査(2025年4月1日時点)では全ての都道府県・市区町村が何らかの助成を実施しています。

国の一律の制度ではなく自治体ごとの制度のため、名称も「子ども医療費助成」「乳幼児医療費助成」「マル乳・マル子」など地域によってさまざまです。多くの自治体では、申請すると「受給者証」が交付され、窓口で健康保険証等と一緒に提示して使います。

助成のかたちには、提示するだけで窓口の支払いがなくなる(または定額で済む)方式と、いったん支払って後から払い戻される方式(償還払い)があり、地域や受診の状況によって使い分けられています。

児童手当と並んで、出生後に必ず申請しておきたい制度です(児童手当の現行制度)。

自治体で違う3つのポイント:対象年齢・自己負担・所得制限

制度の中身は、主に次の3点で自治体ごとに差があります。

項目よくあるパターン
対象年齢15歳年度末(中学生)まで/18歳年度末(高校生年代)まで など
自己負担なし(無料)/通院1回ごとの定額負担あり など
所得制限なし/保護者の所得による制限あり

こども家庭庁の2025年4月1日時点の調査では、市区町村の助成の対象年齢は通院・入院とも「18歳年度末まで」が最も多くなっています。都道府県の制度は通院が就学前まで、入院が15歳年度末までが最多で、都道府県の制度に市区町村が独自に上乗せする二層構造です。

同じ都道府県内でも、隣り合う市区町村で対象年齢や自己負担が異なることは珍しくありません。

2024年度以降、対象を広げやすい環境になった

かつては、自治体が子どもの医療費を窓口無料にすると、国民健康保険への国庫負担が減額される仕組み(減額調整措置)があり、制度拡大のブレーキとされてきました。この措置は18歳未満の子どもの医療費助成について2024年度に廃止され、自治体が対象を広げやすい環境になっています。

実際に、こども家庭庁の調査でも高校生年代までを対象とする市区町村が最も多くなっています。一方で、自己負担や所得制限の扱いには引き続き地域差があり、転居すると条件が変わることがあります。

調べ方:「自治体名+子ども医療費」で公式ページを確認

お住まいの制度は、「自治体名+子ども医療費」で検索して市区町村の公式ページを確認するのが確実です。次の点をチェックしてください。

  • 対象年齢(通院と入院で異なる場合があります)
  • 自己負担の有無と内容
  • 保護者の所得制限の有無
  • 受給者証の申請方法と必要書類
  • 受給者証が使える医療機関の範囲(都道府県の内か外か)

出生後は、子どもの健康保険の加入手続きを済ませてから、医療費助成(受給者証)を申請する流れが一般的です。手続き全体の順番は出産後の手続き一覧で整理しています。

全国の状況を知りたい場合は、こども家庭庁が公表している調査結果に都道府県別・市区町村別の実施状況がまとめられており、転居先の候補を比べる際の参考になります。

里帰り中・県外受診は「償還払い」で後から戻る

受給者証は、発行した自治体のある都道府県内の医療機関でのみ使えるのが一般的です。里帰りや帰省、旅行中などに県外で受診した場合は、いったん健康保険の自己負担分(2〜3割)を窓口で支払い、後日、領収書などを添えてお住まいの自治体に払い戻しを申請します。これを償還払いといいます。

払い戻しの申請には期限が設けられていることが多く、必要書類(領収書の原本、受給者証、振込口座がわかるものなど)も自治体ごとに異なります。里帰り出産で赤ちゃんが里帰り先の小児科にかかる可能性がある方は、出発前にお住まいの自治体へ償還払いの手順を確認しておくと安心です。

注意点:助成の対象は「保険診療の自己負担分」

助成の対象になるのは、原則として保険診療の自己負担分です。次のような費用は対象外です。

  • 健康保険が適用されない費用(任意の予防接種、健診、診断書などの文書料)
  • 入院時の差額ベッド代などの保険外の費用(入院中の食事負担は自治体により扱いが異なります)

また、助成のある自治体でも、受給者証の提示を忘れると窓口でいったん支払いが必要になることがあります。制度の内容は年度で変わることがあるため、進学や転居などの節目には、お住まいの自治体の案内をあらためて確認してください。

よくある質問

子どもの医療費は何歳まで無料ですか?
自治体によって異なります。こども家庭庁の調査(2025年4月1日時点)では、通院・入院とも18歳年度末(高校生年代)までを対象とする市区町村が最も多くなっていますが、自己負担の有無も含めて条件はさまざまです。「自治体名+子ども医療費」で、必ずお住まいの制度をご確認ください。
里帰り先で子どもが受診したらどうすればいいですか?
県外の医療機関では受給者証が使えないのが一般的です。窓口では健康保険の自己負担分を支払い、領収書を保管して、後日お住まいの自治体へ払い戻し(償還払い)を申請してください。申請期限と必要書類は自治体ごとに異なります。
受給者証はいつ・どこで申請しますか?
出生後、子どもの健康保険への加入手続きが済んだら、市区町村の窓口で申請します。児童手当の手続きと同じ窓口で案内される自治体が多いため、出生届の際にまとめて確認すると漏れを防げます。
引っ越したら受給者証はそのまま使えますか?
使えません。医療費助成は自治体ごとの制度のため、転出時に受給者証を返却し、転入先で改めて申請します。対象年齢や自己負担の条件が変わることもあるため、転入先の制度を確認してください。
所得制限で対象外になることはありますか?
自治体によっては保護者の所得による制限があります。制限の有無や基準は自治体ごとに異なるため、お住まいの市区町村の案内でご確認ください。

本記事は制度・費用・選び方に関する一般的な情報の整理であり、医学的助言ではありません。個別の症状・治療については、かかりつけ医・受診先の医療機関にご相談ください。制度・金額は記事内記載の時点の情報です。

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