病児保育の使い方|全国4,342か所・登録は元気なうちに済ませる

執筆: 産婦人科と小児科の教科書 編集部

病児保育は、こどもが病気で家庭での保育が難しいときに、病院や保育所などに付設された専用スペースで預かってもらえる仕組みです。全国4,342か所で実施され、令和5年度の延べ利用児童数は1,348,088人でした。多くが事前登録を必要とし、当日の朝に思い立って使えるものではありません。この記事では、事業の種類と使うまでの流れを整理します。

病児保育は全国4,342か所。年間延べ134万人が利用している

病児保育事業は、こどもが病気の際に自宅での保育が困難な場合に、病院・保育所等において病気の児童を一時的に保育する事業です。こども家庭庁の資料によると、令和5年度の実施状況は次のとおりでした。

指標数値(令和5年度)
病児保育施設数4,342か所
延べ利用児童数1,348,088人

全国の市区町村は1,700余りですから、単純に割れば1自治体あたり2か所程度ということになります。身近にあるとは限らず、定員も限られているのが実情です。だからこそ、必要になってから探すのではなく、元気なうちに登録まで済ませておく意味があります。

3つの型がある

病児保育事業には次の種類があり、どれが地域にあるかで使い方が変わります。

類型内容
病児対応型・病後児対応型地域の病児・病後児について、病院・保育所等に付設された専用スペース等において看護師等が一時的に保育する
体調不良児対応型保育中に体調が悪くなったこどもを一時的に預かるほか、保育所入所児への保健的な対応や、地域の子育て家庭・妊産婦等への相談支援を行う
非施設型(訪問型)地域の病児・病後児について、看護師等が保護者の自宅を訪問して一時的に保育する

体調不良児対応型は、通っている保育所で急に熱が出たときに、お迎えまでの間みてもらえるという性質のものです。あらかじめ預ける病児対応型とは役割が違います。通っている園にどの型があるかを確認しておきましょう。

病児対応型・病後児対応型は病院や診療所に付設されていることが多く、その場合は同じ建物で受診から預かりまで完結することもあります。地域の小児科の体制とあわせて把握しておくと、動き方を決めやすくなります。

使うまでの流れ:登録・予約・連絡票

多くの施設で、次の順序になります。

  1. 事前登録:市区町村や施設に、こどもの情報、かかりつけ、アレルギー、緊急連絡先などを届け出ます。年度ごとの更新が必要なところもあります。
  2. 予約:前日または当日の朝に、電話やウェブで空きを確認して予約します。定員が少ないため、埋まることがあります。
  3. 受診と連絡票の記入:医師の診察を受け、施設が定める様式(医師連絡票・診療情報提供書など)に記入してもらいます。当日の受診が必要な場合と、前日の受診で足りる場合があります。
  4. 当日の持ち物をそろえて預ける:着替え、食事、薬、母子健康手帳などが求められることがあります。

時間がかかるのは、1の登録と3の連絡票です。登録は元気なうちに、連絡票の様式は事前に入手して内容を見ておくと、当日の動きが変わります。

朝に慌てないための準備

実際に使う日は、こどもの受診と自分の仕事の調整が同時に発生します。あらかじめ決めておくと判断が早くなる項目を挙げます。

  • 登録している施設の連絡先と、予約の受付開始時刻
  • 連絡票を書いてもらえる医療機関(かかりつけで対応可能か)
  • 受診してから預けるまでの移動の順序
  • キャンセルの期限と、キャンセル料の有無
  • 受け入れができない症状や状態の条件

施設によっては、感染症の種類や症状によって受け入れの可否が分かれます。条件は登録時の説明で確認しておきましょう。かかりつけを決めるときの観点はかかりつけの小児科の決め方に整理しています。

受診先とあわせて考える

病児保育を使う日は、その前に受診が必要になることがほとんどです。地域の小児科の診療体制を把握しておくと、全体の段取りが立てやすくなります。

当サイトが厚生労働省の公的データから集計したところ、全国の小児科を標榜する施設17,388のうち、土曜に診療しているのは79.2%、日曜は6.7%でした。平日夜間や土曜の受付終了時刻は施設ごとに差があります。詳しくは小児科の土曜診療小児科の日曜診療をご覧ください。

お住まいの地域の小児科は全国の小児科を都道府県から探すから確認できます。公的データにもとづく届出情報のため、実際の診療体制は各施設へ直接ご確認ください。

ほかの預け先との使い分け

こどもを預ける仕組みは複数あり、目的が異なります。

制度使う場面
病児保育事業こどもが病気・回復期で、家庭での保育が難しいとき
一時預かり事業用事や保護者の負担軽減のために一時的に預けるとき
こども誰でも通園制度未就園のこどもが継続的に園で過ごす経験を得るとき

病気のときに一時預かりやこども誰でも通園制度を使うことはできません。それぞれ別に登録が必要なので、使う可能性のあるものは早めに手続きしておきましょう。2026年4月から全国で始まった制度についてはこども誰でも通園制度で整理しています。

夜間や休日に体調を崩したときの相談先は夜間に子どもが具合を悪くしたら、判断に迷うときの窓口は相談窓口の使い方にまとめています。

よくある質問

病児保育は当日でも使えますか?
多くの施設で事前登録が必要なため、登録がないと当日の利用は難しいのが一般的です。予約は前日または当日の朝に受け付ける施設が多く、定員が少ないため埋まることもあります。
利用のときに医師の書類は必要ですか?
医師連絡票や診療情報提供書など、施設が定める様式への記入を求められることが一般的です。当日の受診が必要か前日の受診で足りるかは施設によって異なります。
保育園に通っていなくても使えますか?
地域の病児・病後児を対象とする事業のため、在園の有無にかかわらず利用できる施設があります。対象や条件は自治体・施設によって異なるため、登録時に確認してください。
費用はいくらかかりますか?
自治体が定めており、1日あたりの利用料に加えて食事代などの実費がかかることがあります。減免の仕組みを設けている自治体もあるため、お住まいの市区町村の案内で確認してください。
近くに病児保育がない場合はどうすればよいですか?
看護師等が自宅を訪問する非施設型(訪問型)を実施している地域があります。また、通っている保育所に体調不良児対応型があれば、お迎えまでの間みてもらえます。地域にどの型があるかを確認しておきましょう。

本記事は制度・費用・選び方に関する一般的な情報の整理であり、医学的助言ではありません。個別の症状・治療については、かかりつけ医・受診先の医療機関にご相談ください。制度・金額は記事内記載の時点の情報です。

あわせて読みたい

かかりつけの小児科の決め方|確認しておく6つのこと

かかりつけの小児科をどう選ぶか。距離、診療日、予防接種と健診への対応、予約の仕組み、夜間・休日の案内、相談のしやすさという6つの観点から、決めるときに確認しておきたいことを整理しました。

こども誰でも通園制度とは|0歳6か月から月10時間・就労要件なし

こども誰でも通園制度は2026年4月から全国の市町村で始まった給付制度です。対象は保育所等に通っていない0歳6か月から満3歳未満、上限は月10時間、利用料は1時間300円程度が標準。対象・使い方・一時預かりとの違いを整理しました。

夜間に子どもが具合を悪くしたら|#8000と受診先の探し方

夜間や休日に子どもの具合が悪くなったとき、どこに相談し、どこを受診すればよいのか。子ども医療電話相談#8000の使い方、救急相談#7119との違い、事前に調べておくべきこと、受診時に伝えるべき情報を整理しました。