データで見る出産費用

正常分娩の平均出産費用は都道府県によって大きく異なります。出産育児一時金50万円との差額、費用の推移、保険適用をめぐる議論の経緯を整理しました。

全国平均出産費用(正常分娩・室料差額等除く)

519,805円

令和6年度 / 厚生労働省 第201回社会保障審議会医療保険部会 資料1

平均出産費用が最も高い都道府県:東京都

648,309円

令和6年度 / 厚生労働省 第201回社会保障審議会医療保険部会 資料1

平均出産費用が最も低い都道府県:熊本県

404,411円

令和6年度 / 厚生労働省 第201回社会保障審議会医療保険部会 資料1

出産育児一時金の支給額(原則)

50万円(本体48.8万円+産科医療補償制度掛金1.2万円)

令和5年4月〜 / 厚生労働省 第201回社会保障審議会医療保険部会 資料1

出産費用が一時金50万円を超えた正常分娩の割合

61%(室料差額等含む妊婦合計負担額ベースでは83%)

令和6年度 / 厚生労働省 第201回社会保障審議会医療保険部会 資料1

平均妊婦合計負担額(室料差額等込み・令和7年3月請求分)

599,342円

令和7年3月 / 厚生労働省 第201回社会保障審議会医療保険部会 資料1

正常分娩件数(直接支払制度請求データ)

384,613件(全分娩の53.2%、異常分娩は338,515件・46.8%)

令和6年度 / 厚生労働省 第201回社会保障審議会医療保険部会 資料1

出産給付体系見直しを含む健康保険法等改正法(令和8年法律第31号)成立

2026年5月29日成立(新給付体系は公布後2年以内に施行)

2026年 / 厚生労働省「医療保険制度改正法が成立しました」

都道府県別の平均出産費用(正常分娩・令和6年度)

都道府県平均出産費用(円)全国順位(高い順)出産育児一時金50万円との差額(円)
北海道453,57937-46,421
青森県418,78746-81,213
岩手県471,54732-28,453
宮城県526,2118+26,211
秋田県445,02740-54,973
山形県526,4727+26,472
福島県485,68725-14,313
茨城県531,0215+31,021
栃木県507,73616+7,736
群馬県525,2539+25,253
埼玉県533,2744+33,274
千葉県529,8356+29,835
東京都648,3091+148,309
神奈川県586,6642+86,664
新潟県509,56314+9,563
富山県516,40110+16,401
石川県495,02220-4,978
福井県458,68834-41,312
山梨県507,61617+7,616
長野県509,51315+9,513
岐阜県512,68512+12,685
静岡県507,35418+7,354
愛知県534,7673+34,767
三重県484,94026-15,060
滋賀県486,61024-13,390
京都府483,09527-16,905
大阪府492,84221-7,158
兵庫県515,35011+15,350
奈良県489,01623-10,984
和歌山県443,50541-56,495
鳥取県419,15045-80,850
島根県473,60131-26,399
岡山県510,81513+10,815
広島県503,17619+3,176
山口県451,53138-48,469
徳島県481,52828-18,472
香川県470,82533-29,175
愛媛県475,60829-24,392
高知県428,02243-71,978
福岡県491,35922-8,641
佐賀県453,60936-46,391
長崎県475,25630-24,744
熊本県404,41147-95,589
大分県456,71035-43,290
宮崎県437,03442-62,966
鹿児島県446,12339-53,877
沖縄県419,89744-80,103
全国519,805-+19,805

出典: 厚生労働省 第201回社会保障審議会医療保険部会(2025年10月23日)資料1 p.12「正常分娩の都道府県別の平均出産費用(令和6年度)」
出産育児一時金の直接支払制度の令和6年度請求データより厚生労働省保険局算出。正常分娩のみ(分娩に係る異常に対し保険診療が行われた異常分娩を除く)。出産費用=妊婦合計負担額から「室料差額」「産科医療補償制度掛金」「その他(お祝い膳等)」を除いた合計額。個室代や無痛分娩等の選択サービスを含む実際の窓口支払総額(妊婦合計負担額)はこれより高くなる傾向(令和7年3月請求分の全国平均599,342円)。「全国順位」と「50万円との差額」は上記出典の数値から当方で算出した派生値。

正常分娩の平均出産費用の年次推移(施設種別・平成24年度〜令和6年度)

年度全施設(万円)公的病院(万円)私的病院(万円)診療所・助産所(万円)
平成24年度(2012)41.740.643.341.3
平成25年度(2013)42.141.143.741.7
平成26年度(2014)43.041.644.642.7
平成27年度(2015)44.042.445.843.7
平成28年度(2016)44.543.246.244.2
平成29年度(2017)44.843.146.944.5
平成30年度(2018)45.443.947.545.0
令和元年度(2019)46.044.448.245.7
令和2年度(2020)46.745.249.046.4
令和3年度(2021)47.345.550.046.8
令和4年度(2022)48.246.350.647.9
令和5年度(2023)50.747.452.451.1
令和6年度(2024)52.048.453.752.6

出典: 厚生労働省 第201回社会保障審議会医療保険部会(2025年10月23日)資料1 p.11「正常分娩の平均出産費用の年次推移」
出産育児一時金の直接支払制度の請求データより厚生労働省保険局算出。正常分娩のみ。出産費用=妊婦合計負担額から室料差額・産科医療補償制度掛金・その他を除いた額(万円・小数第1位)。令和5年4月に出産育児一時金が42万円→50万円に増額されており、令和5年度の伸び(前年度比+2.5万円)が突出。令和5年度の全施設平均の実額は506,540円、令和6年度は519,805円。

出産育児一時金の支給額改定の歴史

改定時期支給額内訳・改定理由
平成6年10月(1994年)30万円制度創設。分娩費(標準報酬月額の半額相当・最低保障24万円)と育児手当金(2千円)を統合。国立病院の平均分娩料26.4万円(平成5年)等を勘案
平成12年(2000年)30万円(据え置き)医療保険制度改革時に保険財政への影響を勘案し引き上げ見送り
平成18年10月(2006年)35万円国立病院機構等における平均分娩料34.6万円(平成17年3月)を勘案
平成21年1月(2009年)原則38万円産科医療補償制度の創設に伴い掛金分3万円を上乗せ(本体35万円+掛金3万円)
平成21年10月(2009年)原則42万円本体39万円+掛金3万円。全施設の平均出産費用約39万円(平成19年9月)を勘案。直接支払制度を導入。平成23年3月までの暫定措置
平成23年4月(2011年)原則42万円42万円を恒久化
平成27年1月(2015年)原則42万円産科医療補償制度掛金を3万円→1.6万円に引下げ、本体を39万円→40.4万円に引上げ(総額は42万円のまま)
令和4年1月(2022年)原則42万円掛金を1.6万円→1.2万円に引下げ、本体を40.4万円→40.8万円に引上げ(総額は42万円のまま)
令和5年4月(2023年)原則50万円本体48.8万円+掛金1.2万円。室料差額等を除いた全施設の平均出産費用等を勘案した過去最大の引上げ

出典: 厚生労働省 第155回社会保障審議会医療保険部会(2022年10月13日)資料1-2 p.3「出産育児一時金の経緯」および第201回医療保険部会資料1 p.9-10
「38万円→39万円→42万円」と紹介される場合の39万円は、平成21年10月改定時の本人支給分(総額42万円-産科医療補償制度掛金3万円)を指す。産科医療補償制度加入分娩以外の場合は掛金分を除いた額が支給されるため「原則」表記。第201回資料1(https://www.mhlw.go.jp/content/12401000/001584788.pdf)の推移グラフでも各改定時期を確認済み。

正常分娩の保険適用・出産費用無償化をめぐる経緯(2022年〜2026年7月)

時期出来事根拠資料
2022年10月第155回医療保険部会で出産育児一時金の増額と出産費用の見える化を議論開始第155回医療保険部会 資料1-2
2023年4月出産育児一時金を原則42万円→50万円に引上げ(過去最大の増額)第201回医療保険部会 資料1 p.9
2023年12月22日「こども未来戦略」閣議決定。「2026年度を目途に、出産費用(正常分娩)の保険適用の導入を含め、出産に関する支援等の更なる強化について検討を進める」と明記第201回医療保険部会 資料1 p.19
2024年5月30日厚労省が全国の分娩施設の費用・サービスを公開するサイト「出産なび」開設(見える化の本格実施)第183回医療保険部会 資料5
2024年6月〜2025年5月「妊娠・出産・産後における妊産婦等の支援策等に関する検討会」(厚労省・こども家庭庁)で保険適用・無償化の在り方を議論第201回医療保険部会 参考資料1-1・1-2
2025年5月14日検討会「議論の整理」公表。「令和8年度を目途に、産科医療機関等の経営実態等にも十分配慮しながら標準的な出産費用の自己負担無償化に向けた具体的な制度設計を進める」第201回医療保険部会 資料1 p.31
2025年6月13日「経済財政運営と改革の基本方針2025(骨太の方針)」閣議決定。「2026年度を目途に標準的な出産費用の自己負担の無償化に向けた対応を進める」第201回医療保険部会 資料1 p.30
2025年10月23日第201回医療保険部会で給付体系見直しの議論開始。令和7年冬頃までに給付体系の骨格をとりまとめる方針を提示第201回医療保険部会 資料1 p.31
2025年11月〜12月第204回・206回・207回医療保険部会で議論。「一時金に代わる現物給付化」「全国一律の給付水準」「アメニティ等サービスは無償化対象から除外し見える化を徹底」等の方向性で概ね一致第207回医療保険部会 資料1
2026年3月13日「健康保険法等の一部を改正する法律案」を閣議決定し国会提出(出産に係る給付体系の見直しを含む)内閣法制局 国会提出法律案一覧
2026年3月19日第211回医療保険部会に法案を報告。①分娩1件当たり基本単価を国が設定し保険者から施設へ直接支給(現物給付化・全国同水準+体制への加算)②全妊婦への定額現金給付(金額は政令事項)③当分の間、施設単位で現行の出産育児一時金制度を選択可能とする経過措置第211回医療保険部会 資料1
2026年4月24日・5月28日衆参厚生労働委員会で附帯決議(周産期医療提供体制の確保、標準的費用の設定への配慮、無痛分娩の提供体制確保等)第212回医療保険部会 資料1
2026年5月29日健康保険法等の一部を改正する法律(令和8年法律第31号)成立。「妊娠・出産に対する支援の強化」(新給付体系)の施行は公布後2年以内の政令で定める日厚労省「医療保険制度改正法が成立しました」・第212回医療保険部会 資料1
2026年7月時点施行日・分娩1件当たり基本単価(告示)・現金給付額(政令)は未定。制度の詳細設計を継続検討中第212回医療保険部会 資料1

出典: 厚生労働省 社会保障審議会医療保険部会 各回資料(第155回・第183回・第201回・第207回・第211回・第212回)
各回資料URL:第201回資料1 https://www.mhlw.go.jp/content/12401000/001584788.pdf /第207回資料1 https://www.mhlw.go.jp/content/12401000/001610190.pdf /第211回資料1 https://www.mhlw.go.jp/content/12401000/001676380.pdf /第212回資料1 https://www.mhlw.go.jp/content/12401000/001712849.pdf /成立告知 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryouhoken/newpage_00014.html /法案(内閣法制局) https://www.clb.go.jp/recent-laws/diet_bill/detail/id=5199 。成立した制度は「診療報酬点数化による保険適用」ではなく「基本単価方式の現物給付化」であり、室料差額・お祝い膳・無痛分娩等の選択サービスは無償化の対象外(見える化・情報提供義務の対象)。

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出典:「産婦人科と小児科の教科書」(株式会社NAMI-RENSA)調べ / 対象:厚生労働省「医療情報ネットのオープンデータ」(2025年12月1日時点)収録の産婦人科・小児科・助産所 / 調査時点:2026年7月28日

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