無痛分娩の割合は13.8%|都道府県で4倍近い差がある
無痛分娩の実施率は2020年の8.6%から2023年に13.8%へ増えました。ただし都道府県別に見ると最高と最低で4倍近い差があります。公的統計にもとづく地域差の実態と、その差が何によって生まれているのかを整理しました。
執筆: 産婦人科と小児科の教科書 編集部
厚生労働省「令和5年医療施設(静態・動態)調査」によると、2023年9月の1か月間に沖縄県内で行われた分娩は1,036件で、このうち帝王切開を除く無痛分娩は46件でした。割合は4.4%で、全国平均13.8%の3分の1以下です。都道府県別では新潟県・長崎県と同じ4.4%で並び、高い順に並べると47都道府県の35〜37番目にあたります。
| 項目 | 沖縄県 | 全国 |
|---|---|---|
| 分娩件数(2023年9月) | 1,036件 | 59,026件 |
| うち無痛分娩(帝王切開を除く) | 46件 | 8,140件 |
| 無痛分娩の割合 | 4.4% | 13.8% |
| 無痛分娩を実施した施設数 | 6施設 | 602施設 |
| 分娩を取り扱う施設数 | 29施設 | 1,858施設 |
一方で、沖縄県の2024年の合計特殊出生率は1.54で全国で最も高く(全国は1.15)、2025年の出生数は11,511人です。子どもが多く生まれる県で、無痛分娩の割合は全国より低い、という組み合わせになっています。詳しくはデータで見る無痛分娩と沖縄県の出産・子育てデータをご覧ください。
同じ調査の2020年9月の数字と比べると、沖縄県の無痛分娩は0.6%から4.4%へ、3.8ポイント上がっています。
| 項目 | 2020年9月 | 2023年9月 |
|---|---|---|
| 無痛分娩の割合 | 0.6% | 4.4% |
| 無痛分娩の件数 | 8件 | 46件 |
| 実施した施設数 | 2施設 | 6施設 |
2020年の0.6%は、0%だった3県(岩手県・鳥取県・高知県)に次ぐ低さでした。3年間の伸び幅3.8ポイントは全国の5.2ポイントより小さく、47都道府県では19番目です。件数・施設数とも増えてはいるものの、全国との差はまだ大きい、というのが2つの調査から読める姿です。
なお、これは各年9月の1か月分の数字です。件数が小さい県は月ごとの変動が大きく、ある月に実施がなかった施設が別の月には対応していた、ということも起こりえます。
2023年9月の46件の内訳は、病院25件(54.3%)、診療所21件(45.7%)でした。全国では病院4,306件・診療所3,834件で、病院がやや多い構成です。沖縄県も同じく病院が半分を超えています。実施件数の8割近くを診療所が占める新潟県(新潟県の無痛分娩)とは形が違います。
調査の「実施施設6」は、2023年9月の1か月間に実際に無痛分娩を行った施設の数です。県内で対応している施設が6つしかない、という意味ではありません。月に数件しか扱わない施設や、その月に希望者がいなかった施設は数字に現れないことがあります。
病院での無痛分娩は、施設によって、日程を決めて行う計画無痛分娩に限る、麻酔を担当する医師がいる時間帯に限る、などの条件が付くことがあります。どのような条件で受けられるかは施設ごとに違うため、候補の施設に直接確認してください(計画無痛分娩の流れ)。医学的なことは分娩予定の施設やかかりつけ医にご相談ください。
当サイトが厚生労働省「出産なび」の掲載情報を集計したところ(2026年10月時点)、沖縄県で出産なびに掲載されている病院・診療所は25施設(病院16・診療所9)です。この25は調査の「分娩取扱施設数」とは定義が違う数字です。
| 地域 | 掲載施設(病院・診療所) |
|---|---|
| 那覇市 | 8施設(32.0%) |
| 浦添市・豊見城市・南風原町・八重瀬町・西原町 | 各1施設(計5施設) |
| 沖縄市・うるま市・中城村 | 各2施設(計6施設) |
| 北谷町 | 1施設 |
| 名護市(本島北部) | 2施設 |
| 宮古島市 | 2施設 |
| 石垣市 | 1施設 |
本島の中南部に施設が集まっており、宮古島市・石垣市・名護市は、それぞれの地域で掲載が1〜2施設です。これらの地域では、地元の施設で無痛分娩に対応しているかどうかが、そのまま選択肢の有無になります。対応していない場合は、本島中南部の施設まで移動するかを検討することになります。
通える範囲にどの施設があるかは沖縄県の産婦人科を探すページで確認できます。
沖縄県によると、県内には沖縄本島を除いて38の有人離島があり、小規模な離島には病院が置かれていない島が多くあります。分娩施設のない島に住んでいる場合、妊婦健診や出産のために島外の医療機関へ通うことになります。
その負担を軽くするために、沖縄県離島患者等通院費支援事業があります。県の事業概要(令和8年度)によると、仕組みは次のとおりです。
県のページは、市町村によって対象となる疾病や助成額など支援内容が異なるため、居住している市町村の担当課に尋ねるよう案内しています。県が公表している市町村ごとの支援状況一覧(令和8年4月1日時点)でも、妊産婦健診・出産を対象にしているかは市町村ごとに分かれています。通院や出産で島を離れる前に、役場の担当課で対象になるか・必要な書類を確認しておくのが確実です。
この助成は交通費と宿泊費のためのもので、無痛分娩の費用を対象とする制度ではありません。
厚生労働省の資料によると、2024(令和6)年度の正常分娩の平均出産費用は、沖縄県が419,897円で全国で4番目に低く、出産育児一時金(原則50万円)を80,103円下回ります。全国平均は519,805円です。
無痛分娩の費用は、この通常の分娩費用への追加分として設定されることが多く、数万円から十数万円程度の設定が多く見られます。追加分の金額は施設ごとに違うため、候補の施設で確認してください(無痛分娩の費用)。
無痛分娩の費用そのものを対象とする助成制度は、当サイトが2026年10月に確認した範囲では、沖縄県内の県・市町村に見当たりませんでした。制度は年度替わりに新設・変更されることがあるため、お住まいの市町村の公式サイトか母子健康手帳の交付窓口で最新の情報をご確認ください。調べ方の手順は無痛分娩の助成金・補助金にまとめています。
まとめると次の順番です。
沖縄県は、無痛分娩の件数・施設数が2020年から増えている一方で、地域による偏りが大きい県です。早い段階で「ある/ない」をはっきりさせておくと、その後の判断がしやすくなります。全体の探し方は無痛分娩ができる施設が見つからないときにも、いまが妊娠何週かは出産予定日・妊娠週数の計算で確認できます。
本記事は制度・費用・選び方に関する一般的な情報の整理であり、医学的助言ではありません。個別の症状・治療については、かかりつけ医・受診先の医療機関にご相談ください。制度・金額は記事内記載の時点の情報です。
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