無痛分娩を考えたら、兵庫県でどう探すか|実施率11.5%と大阪との近さ

執筆: 産婦人科と小児科の教科書 編集部

兵庫県の無痛分娩の割合は11.5%と全国平均を下回りますが、件数は277件、実施の78%は病院です。この記事では、大阪府との比較と府県をまたぐ選択、神戸市・阪神間・播磨・但馬淡路の地域差、探し方と費用助成の現状を、公的データと当サイトの集計から整理します。

実施率11.5%。全国平均を下回るが、件数277は大きい

厚生労働省「令和5年医療施設(静態・動態)調査」によると、2023年9月の1か月間に兵庫県内で行われた分娩は2,406件で、このうち帝王切開を除く無痛分娩は277件でした。割合は11.5%で、全国平均の13.8%を下回ります。都道府県では17位です。

項目兵庫県全国
分娩件数(2023年9月)2,406件59,026件
うち無痛分娩(帝王切開を除く)277件8,140件
無痛分娩の割合11.5%13.8%
無痛分娩を実施した施設数19施設602施設

2020年は7.1%(178件・18施設)でしたので、3年で4.4ポイント上がり、件数は178件から277件へ増えました。伸び幅は都道府県で18位で、全国平均の5.2ポイントにはわずかに届いていません。実施した施設数は18から19とほぼ同じなので、施設が増えたというより、既存の施設での実施が広がった数字です。調査は3年ごとで、件数は9月の1か月分です。詳しくはデータで見る無痛分娩と兵庫県の出産・子育てデータをご覧ください。

無痛分娩277件のうち、病院が217件(78%)

兵庫県の無痛分娩277件の内訳は、病院が217件(78.3%)、診療所が60件です。全国は病院52.9%・診療所47.1%とほぼ半々なので、兵庫県は病院での実施に大きく寄った構造だとわかります。

探し方への影響は大きく、診療所(クリニック)だけを候補にすると、実際に無痛分娩が行われている場の多くを見落とすことになります。総合病院や大学病院を含めて候補を見ることが、選択肢を広げます。これはどちらが優れているかという話ではなく、実施件数の分布の話です。病院と診療所で運用が異なる点は、分娩予定の施設に直接確認してください。

大阪府との近さ。府県をまたいで選ぶ人は少なくない

兵庫県の東側は大阪府と接し、阪神間(西宮・尼崎・宝塚など)は日常の生活圏が大阪と重なる地域です。無痛分娩の数字を近隣府県と並べると、次のようになります。

項目兵庫県大阪府京都府
無痛分娩の割合11.5%12.3%9.6%
無痛分娩の件数277件511件103件
実施した施設数19施設40施設15施設

割合は大阪府と1ポイント足らずの差で、どちらも全国平均を下回ります。一方、件数と実施施設数では大阪府が兵庫県の約2倍近くあります。「兵庫県の施設が少ない」というより、大阪府が大きいという関係です。大阪府側の状況は大阪府の無痛分娩に整理しています。

府県をまたいで探すときは、次の点に注意してください。

  • 出産育児一時金(原則50万円)は全国共通で、どの府県の施設でも使えます
  • 自治体の助成制度は、住民票のある自治体が条件になることが一般的です。施設が県外でも使えるかは自治体ごとに異なるため、事前に窓口で確認してください
  • 通院の回数・陣痛が来たときの移動時間は、同じ「近い」でも人によって感じ方が違います。実際に通う経路で考えてください

県内の地域差。阪神間、播磨、但馬・淡路では事情が違う

当サイトが厚生労働省「出産なび」に掲載されている病院・診療所(助産所を除く)を集計したところ(2026年9月時点の掲載情報)、兵庫県は76施設(病院36・診療所40)でした。市別では神戸市が25施設(32.9%)で最も多く、姫路市9、西宮市8、明石市6、尼崎市5、加古川市3、宝塚市3、高砂市2と続きます。ほかの県では県庁所在地に4〜5割が集まる例もあり、それと比べると兵庫県は分散しています。なお、これは出産なびに掲載された施設の数で、前述の「無痛分娩を実施した施設数」とは数え方が違います。

  • 神戸市と阪神間 — 神戸市のほか、西宮市8・尼崎5・宝塚3で、阪神間の3市だけで16施設あります。神戸方面と大阪方面のどちらも通える可能性があり、候補を県境で区切らずに見られる地域です
  • 播磨 — 姫路市9・明石市6・加古川市3・高砂市2など、姫路を中心に一定の施設があります。県内に候補を見つけやすい一方、大阪方面を日常的に通う距離かどうかは人によって変わります
  • 但馬・淡路 — 豊岡市や淡路島の市は、出産なびの掲載数の上位8市には入っていません(無痛分娩費用の助成を行う養父市も但馬にあります)。分娩施設そのものが限られる地域もあるため、通える範囲に何があるかを先に確認してください(分娩施設が近くにない地域の産院選び)

市区町村ごとの分娩取扱施設は兵庫県の産婦人科を探すページで確認できます。

対応施設の探し方と、費用・助成の現状

主な情報源は次の3つです。

  • JALAの「全国無痛分娩施設検索」 — 無痛分娩関係学会・団体連絡協議会(JALA)のサイトで、情報公開に取り組む施設が無痛分娩の件数や麻酔を担当する医師の体制を公開しています。掲載は施設側の取り組みによるもので、載っていない施設が実施していないとは限りません
  • 厚生労働省「出産なび」 — 施設ごとの出産費用やサービスの情報が公開されています
  • 施設の公式サイト — 実施の有無・方式・追加費用が案内されていることが多くあります

電話では、日程を決めて行う計画無痛分娩のみか陣痛が始まってからも対応するか(計画無痛分娩の流れ)、初産・経産の条件、追加費用、分娩予約の締切を確認します。対応の可否や麻酔の方法など医学的なことは、分娩予定の施設やかかりつけ医に相談してください。

費用は通常の分娩費用への追加分で、数万円から十数万円程度の設定が多く見られますが、統一基準はなく施設ごとに異なります。助成については、都道府県単位では東京都が2025年10月に始めた制度があり、対象は都内に住民登録がある人です。兵庫県内では、但馬の養父市が「無痛分娩費用助成事業」を実施しています。養父市の公式ページ(2026年5月20日更新)によると、対象は令和8年4月1日以降に無痛分娩により出産した産婦で、市内に住所を有し、かつ引き続き定住する意思があることなどが条件です。助成の上限は10万円(千円未満切捨て)で、対象は医療保険の給付の対象とならない無痛分娩の費用のうち、麻酔手技及び管理料、持続注入手技料、医療材料費、薬剤料などです。申請には申請書兼請求書と医療機関証明書が必要で、窓口は養父市の子育て応援課です。

兵庫県としての助成や、神戸市・姫路市・西宮市・尼崎市・明石市などの公式サイトでは、無痛分娩費用の助成は、当サイトが2026年10月に確認した範囲では見当たりませんでした。ただし県内の市町村すべてを確認できたわけではなく、制度は新設されることがあります。お住まいの市町村の公式サイトか母子健康手帳の交付窓口で最新の情報をご確認ください。

調べ方の手順は無痛分娩の助成金・補助金にまとめています。

兵庫県で探すときの手順

まとめると次の順番です。

  1. 兵庫県の産婦人科を探すページで、通える範囲の分娩取扱施設を把握する。病院も候補に入れる
  2. 阪神間にお住まいなら、大阪府側の施設も通える範囲に含めて候補を見る
  3. JALAの施設検索と公式サイトで、無痛分娩への対応を確認する
  4. 候補施設に電話で方式・費用・予約状況を確認する。県外の施設を選ぶ場合は、住民票のある市町村の助成や手続きも確認する
  5. 希望が固まったら、分娩予約は早めに動く

兵庫県の実施率11.5%は全国平均より低いものの、件数277は小さくありません。県の数字より、自分の住まいから通える範囲に何があるかを起点に動いてください。見つからない場合は無痛分娩ができる施設が見つからないとき、里帰り出産を考えている場合は里帰り出産の時期と転院をご覧ください。いまが妊娠何週かは出産予定日・妊娠週数の計算で確認できます。

よくある質問

兵庫県の無痛分娩の実施率はどのくらいですか?
2023年9月の1か月間の調査で11.5%です。全国平均の13.8%を下回り、都道府県では17位でした。2020年は7.1%で、3年間で4.4ポイント上がっています。
兵庫県で無痛分娩は病院とクリニックのどちらが多いですか?
2023年9月の無痛分娩277件のうち、病院が217件(78.3%)、診療所が60件でした。全国では病院52.9%・診療所47.1%なので、兵庫県は病院での実施が目立ちます。診療所だけでなく病院も候補に含めて探すと選択肢が広がります。
阪神間に住んでいる場合、大阪府の施設も選べますか?
出産育児一時金(原則50万円)は全国共通で、どの府県の施設でも使えます。ただし自治体の助成制度は住民票のある自治体が条件になることが多く、通院の負担も人によって異なります。大阪府の状況は別の記事に整理していますので、通える範囲を実際の経路で確かめたうえで、個別の施設に問い合わせてください。
兵庫県に無痛分娩の助成制度はありますか?
兵庫県としての助成は、当サイトが2026年10月に確認した範囲では見当たりませんでした。市町村では、養父市が令和8年4月1日以降に無痛分娩で出産した市内在住の産婦を対象に、上限10万円(千円未満切捨て)の助成を行っています。神戸市・姫路市・西宮市・尼崎市・明石市などでは確認できませんでしたが、県内すべての市町村を確認したわけではないため、お住まいの市町村の窓口でご確認ください。
但馬や淡路など、施設が少ない地域ではどうすればよいですか?
まず通える範囲に分娩取扱施設があるかを確認し、そのうえで無痛分娩への対応を個別に問い合わせます。県内で見つからない場合は、隣接府県や里帰り出産も含めて検討する方法があります。判断の順番は、無痛分娩ができる施設が見つからないときの記事にまとめています。

本記事は制度・費用・選び方に関する一般的な情報の整理であり、医学的助言ではありません。個別の症状・治療については、かかりつけ医・受診先の医療機関にご相談ください。制度・金額は記事内記載の時点の情報です。

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