その産婦人科で出産できる?|分娩取扱は46.2%・外来のみの施設を見分ける方法

執筆: 産婦人科と小児科の教科書 編集部

産婦人科・産科を掲げる施設のうち分娩を取り扱うのは46.2%で(当サイト集計)、半数以上は外来のみの施設です。この記事では、「その産婦人科でお産できるのか」を確実に調べる手順を、当サイトのデータベース・出産なび・公式サイト・電話確認の順で整理します。

「産婦人科」の看板では、分娩の有無はわからない

「産婦人科」を掲げる施設が、必ずしもお産を扱っているわけではありません。当サイトが公的データから集計したところ、産婦人科・産科を標榜する3,615施設のうち、分娩を取り扱うのは46.2%でした。日本産婦人科医会の施設情報調査2025でも、分娩取扱施設は全体の39.4%と報告されています。

残りの半数以上は、妊婦健診・婦人科診療・不妊治療などの外来を担う施設です。外来のみの施設も妊娠中の大切な受け皿ですが、「産婦人科に通っている=そこで産める」ではないことは、妊娠のはじめに知っておきたい事実です。これは病院か診療所かという規模の問題でもありません。大きな病院でも分娩を扱っていないことがあり、小さな診療所や助産所が扱っていることもあります。

分娩を扱う施設は年々減っている

分娩取扱施設は2006年の3,098施設から2025年には1,856施設へと約40%減り、直近1年だけでも100施設が分娩の取り扱いをやめています(日本産婦人科医会調べ)。

さらに当サイトの集計では、域内に分娩施設がない市区町村は全体の58.8%にのぼります。地域によっては「近くの産婦人科はどこも外来のみ」ということが普通に起こります。その場合の考え方は分娩施設が近くにない地域の産院選びで整理しています。

外来のみの施設で妊娠がわかったら

外来のみの施設で妊娠がわかった場合、出産する施設を選ぶ作業が必ず発生します。妊婦健診は今の施設で続けて分娩だけ別の施設で行うのか、健診ごと分娩施設に移るのかは、施設間の連携や地域の事情によって変わります。

多くの場合、通っている施設から分娩施設の紹介を受けられます。希望する条件(無痛分娩、立ち会いなど)があれば、紹介の前に伝えておくと候補選びに反映されます。実際、初診から出産まで1か所で完結した人は47.9%と半数以下であり(2016年・回答489人)、複数の施設にかかること自体はごく標準的な経路です。

地域や施設間の連携によっては、健診は通いやすい今の施設で受けて分娩だけ連携先の病院で行うセミオープンシステムが使えることもあります。

分娩の有無を調べる4つのステップ

候補の施設がお産を扱っているかどうかは、次の順で調べると確実です。

手順使うものわかること
1. 一覧で候補を把握当サイトの都道府県別ページ通える範囲の施設と分娩取扱の状況
2. 費用・サービスを見る厚生労働省「出産なび」出産費用の目安、無痛分娩対応、年間分娩件数
3. 公式サイトを確認各施設のサイト分娩・入院の案内、予約方法
4. 電話で最終確認施設への電話現時点の取り扱いと予約状況

当サイトの一覧は、厚生労働省の医療情報ネット(医療機能情報提供制度)のオープンデータをもとにしています。公的データに何が載っていて何が載っていないかは、公的データで産院を調べるときの注意点にまとめています。

電話で確認する内容

最後の電話確認では、次を聞けば十分です。

  • 分娩を扱っているか(現在も受け付けているか)
  • 分娩予約の空き状況と、予約の手順
  • 希望条件(無痛分娩・立ち会いなど)への対応
  • 里帰り出産を予定している場合は、受け入れの条件と時期

ウェブ上の情報は更新が追いついていないことがあります。出産なびへの掲載も施設の申請に基づくため、「掲載がない=分娩を扱っていない」ではありません。逆に、掲載や記載があっても現時点の受け付け状況までは反映されていないことがあるため、電話での確認を最終確認としてください。

「いま扱っている」が続くとは限らない

年間100施設が分娩をやめているということは、妊娠中に通っている施設が分娩を休止する可能性もゼロではないということです。実際にそうなった場合の動き方は通っていた産院が分娩をやめたらで整理しています。

不安をあおる意図はありません。ただ、分娩の有無は固定された情報ではないと知っておくと、万一の案内があったときにも落ち着いて動けます。妊娠がわかった段階で分娩の有無を確かめ、通える範囲の候補を2〜3件把握しておく。それだけで、ほとんどの事態に対応できます。初診前の準備は産婦人科の初診はいつ行くかもあわせてご覧ください。

よくある質問

出産なびに載っていない産婦人科は、分娩を扱っていないのですか?
そうとは限りません。出産なびへの掲載は施設の申請・報告に基づいており、小規模な施設の掲載は任意です。分娩を扱っていても掲載されていない施設があるため、施設に直接ご確認ください。
「婦人科」だけを掲げる施設でお産はできますか?
分娩は産科の領域のため、婦人科のみを掲げる施設では通常行われていません。ただし標榜名だけで確実な判断はできないため、最終的には施設にご確認ください。
ホームページに分娩について何も書かれていない場合は?
記載がないことは、扱っていないことの証明にはなりません。サイトの更新が止まっている場合もあります。電話で「分娩を扱っていますか」と確認するのが確実です。
健診は今の施設で、出産は別の施設で、という形はできますか?
施設間の連携があれば可能な場合があります(セミオープンシステムなどと呼ばれます)。利用できるかどうかは地域と施設によるため、通っている施設と分娩を希望する施設の双方にご確認ください。
分娩を扱っているとわかったら、予約はいつまでにすればよいですか?
施設によって異なります。調査では約3分の2の人が妊娠3か月までに分娩予約を済ませており、施設によっては早く埋まります。分娩の有無を確認する電話で、予約の時期もあわせて聞いておくと確実です。

本記事は制度・費用・選び方に関する一般的な情報の整理であり、医学的助言ではありません。個別の症状・治療については、かかりつけ医・受診先の医療機関にご相談ください。制度・金額は記事内記載の時点の情報です。

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