病児保育の使い方|全国4,342か所・登録は元気なうちに済ませる
病児保育事業は全国4,342か所、延べ134万人が利用しています(令和5年度)。病児対応型・体調不良児対応型・訪問型の違い、事前登録から当日までの流れ、医師の連絡票の準備、かかりつけの小児科との関係を整理しました。
執筆: 産婦人科と小児科の教科書 編集部
付き添い入院を考えるときの出発点は、保険医療機関及び保険医療養担当規則(昭和32年厚生省令第15号。療担規則)第11条の2です。
保険医療機関は、その入院患者に対して、患者の負担により、当該保険医療機関の従業者以外の者による看護を受けさせてはならない。
2 保険医療機関は、当該保険医療機関の従業者による看護を行うため、従業者の確保等必要な体制の整備に努めなければならない。
禁止されているのは「患者の負担による」看護です。入院中の看護は病院の看護要員が行うもので、その費用を患者に負担させて外部の人に看護させてはいけない、という趣旨になります。家族が病室にいることそのものを禁じた規定ではありません。
診療報酬の算定に関する通知(令和4年3月4日 保医発0304第2号)別添2 第2 4(6)アには、次のように書かれています。
看護は、当該保険医療機関の看護要員のみによって行われるものであり、当該保険医療機関において患者の負担による付添看護が行われてはならない。ただし、患者の病状により、又は治療に対する理解が困難な小児患者又は知的障害を有する患者等の場合は、医師の許可を得て家族等患者の負担によらない者が付き添うことは差し支えない。なお、患者の負担によらない家族等による付添いであっても、それらが当該保険医療機関の看護要員による看護を代替し、又は当該保険医療機関の看護要員の看護力を補充するようなことがあってはならない。
読み取れる線引きは3つです。
つまり「医師の許可」と「看護の代替にしない」が条件です。家族がどこまで何をするかは、この2つの枠の中で病院ごとに決められています。
令和5年度の子ども・子育て支援等推進調査研究事業として行われた「入院中のこどもへの家族等の付添いに関する病院実態調査」(野村総合研究所・令和6年3月)では、用語がこう定義されています。
| 用語 | 定義 |
|---|---|
| 付添い | 宿泊を伴う場合 |
| 面会 | 宿泊を伴わない場合 |
病院の案内で「付添い可」「面会のみ」と書かれているときは、まず宿泊できるかどうかの区別だと考えると読み違いが減ります。この調査は全国の小児中核病院・小児地域医療センター・小児地域支援病院を対象に、令和5年12月1日から令和6年1月15日にかけて実施され、751件配布・349件回答(有効回答率46.5%)です。
同じ調査で報告されている病院側の対応は次のとおりです。いずれも回答した349機関に対する割合です。
| 項目 | 結果 |
|---|---|
| 付添いのルール・条件の説明 | ほぼすべての機関が実施 |
| 付き添う家族が受けられる支援・サービスの説明 | 5割弱 |
| 家族が行う育児と医療的ケアの範囲の説明 | 5割弱 |
| 寝具の貸与 | 8割以上 |
| 家族への病院食の提供 | 3割程度(コンビニでの調達が最多) |
| 医療ソーシャルワーカー等に相談できる環境 | 約8割 |
| 院外の施設・団体との連携 | 15%(理由として連携先がわからないことが挙げられている) |
| 家族と共同したケア | 約7割 |
| モニター等による安全確保 | 7割弱 |
| こども自身が意見を言える場 | 約半数 |
ルールの説明はほぼ全機関、支援内容の説明は5割弱という差があります。付き添うことになったときに、聞かなければ出てこない情報があるという前提で確認したほうが確実です。
厚生労働省の令和3年度「入院患者の家族等による付添いに関する実態調査」では、病院調査の回収率が29.7%(300施設に配布し89施設が回答)、患者家族等調査の回収率が1.37%(3,000件に配布し41件が回答)と報告されています。回答した病院数が89と少ないため、全国の状況をそのまま表す数字ではありません。
そのうえで、小児科病棟についての回答は次のとおりです。
付添いを認めていない理由として挙げられたのは、感染症対策が98.0%、健康保険制度上認められていないが40.0%でした。感染症の流行状況で運用が変わりうることが、この数字からも読み取れます。
付き添う家族の食事や寝具、駐車場などの費用について、確認した範囲では、診療報酬上の給付や全国一律の助成を定めた規定は見当たりません。令和5年度の調査で寝具の貸与が8割以上、病院食の提供が3割程度と分かれているのは、病院ごとの取扱いだからです。
子どもの入院にかかる医療費そのものは、健康保険と自治体の助成の対象になります。自己負担の範囲は自治体で違うため、子ども医療費助成で調べ方を確認してください。個室を希望した場合の差額ベッド代については差額ベッド代にまとめています。
制度と運用の両方に関わる項目です。入院が決まった段階で、病棟か入院の窓口に聞いておくと当日の見込みが立ちます。
付添いの最中にどのようなケアを家族が担うかは、病状と病院の方針によって決まります。この記事は制度と運用の枠組みを整理したもので、看護の方法や病状の判断は扱いません。具体的な内容は主治医と病棟の看護師に確認してください。日中の預け先が必要なときの制度は病児保育、日常的に医療的ケアが必要な場合の支援は医療的ケア児にまとめています。
本記事は制度・費用・選び方に関する一般的な情報の整理であり、医学的助言ではありません。個別の症状・治療については、かかりつけ医・受診先の医療機関にご相談ください。制度・金額は記事内記載の時点の情報です。
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