子どもの付き添い入院|「患者の負担による付添看護」の禁止と、医師の許可による例外

執筆: 産婦人科と小児科の教科書 編集部

子どもの入院に家族が付き添えるかどうかは、病院の方針だけで決まっているわけではありません。保険医療機関及び保険医療養担当規則第11条の2は「患者の負担による付添看護」を禁止していますが、診療報酬の通知では、小児患者などの場合に医師の許可を得て家族等が付き添うことは差し支えないとされています。この線引きと、国の実態調査でわかっている運用の実際を整理します。

まず禁止されているのは「患者の負担による看護」

付き添い入院を考えるときの出発点は、保険医療機関及び保険医療養担当規則(昭和32年厚生省令第15号。療担規則)第11条の2です。

保険医療機関は、その入院患者に対して、患者の負担により、当該保険医療機関の従業者以外の者による看護を受けさせてはならない。
2 保険医療機関は、当該保険医療機関の従業者による看護を行うため、従業者の確保等必要な体制の整備に努めなければならない。

禁止されているのは「患者の負担による」看護です。入院中の看護は病院の看護要員が行うもので、その費用を患者に負担させて外部の人に看護させてはいけない、という趣旨になります。家族が病室にいることそのものを禁じた規定ではありません。

それでも家族が付き添える根拠

診療報酬の算定に関する通知(令和4年3月4日 保医発0304第2号)別添2 第2 4(6)アには、次のように書かれています。

看護は、当該保険医療機関の看護要員のみによって行われるものであり、当該保険医療機関において患者の負担による付添看護が行われてはならない。ただし、患者の病状により、又は治療に対する理解が困難な小児患者又は知的障害を有する患者等の場合は、医師の許可を得て家族等患者の負担によらない者が付き添うことは差し支えない。なお、患者の負担によらない家族等による付添いであっても、それらが当該保険医療機関の看護要員による看護を代替し、又は当該保険医療機関の看護要員の看護力を補充するようなことがあってはならない。

読み取れる線引きは3つです。

  1. 看護は病院の看護要員が行う。患者の負担による付添看護は認められない
  2. 病状により、または治療の理解が難しい小児患者等の場合は、医師の許可を得れば、患者の負担によらない家族等が付き添うことは差し支えない
  3. その付添いが看護の代替や看護力の補充になってはならない

つまり「医師の許可」と「看護の代替にしない」が条件です。家族がどこまで何をするかは、この2つの枠の中で病院ごとに決められています。

「付添い」と「面会」は国の調査で区別されている

令和5年度の子ども・子育て支援等推進調査研究事業として行われた「入院中のこどもへの家族等の付添いに関する病院実態調査」(野村総合研究所・令和6年3月)では、用語がこう定義されています。

用語定義
付添い宿泊を伴う場合
面会宿泊を伴わない場合

病院の案内で「付添い可」「面会のみ」と書かれているときは、まず宿泊できるかどうかの区別だと考えると読み違いが減ります。この調査は全国の小児中核病院・小児地域医療センター・小児地域支援病院を対象に、令和5年12月1日から令和6年1月15日にかけて実施され、751件配布・349件回答(有効回答率46.5%)です。

病院がどこまで説明・支援しているか(令和5年度調査)

同じ調査で報告されている病院側の対応は次のとおりです。いずれも回答した349機関に対する割合です。

項目結果
付添いのルール・条件の説明ほぼすべての機関が実施
付き添う家族が受けられる支援・サービスの説明5割弱
家族が行う育児と医療的ケアの範囲の説明5割弱
寝具の貸与8割以上
家族への病院食の提供3割程度(コンビニでの調達が最多)
医療ソーシャルワーカー等に相談できる環境約8割
院外の施設・団体との連携15%(理由として連携先がわからないことが挙げられている)
家族と共同したケア約7割
モニター等による安全確保7割弱
こども自身が意見を言える場約半数

ルールの説明はほぼ全機関、支援内容の説明は5割弱という差があります。付き添うことになったときに、聞かなければ出てこない情報があるという前提で確認したほうが確実です。

付添いを認めていない病院もある(令和3年度調査)

厚生労働省の令和3年度「入院患者の家族等による付添いに関する実態調査」では、病院調査の回収率が29.7%(300施設に配布し89施設が回答)、患者家族等調査の回収率が1.37%(3,000件に配布し41件が回答)と報告されています。回答した病院数が89と少ないため、全国の状況をそのまま表す数字ではありません。

そのうえで、小児科病棟についての回答は次のとおりです。

  • 希望した場合に医師の許可を得て付添いを認めることがある … 91.1%
  • 病状により病院側から付添いを依頼することがある … 44.4%

付添いを認めていない理由として挙げられたのは、感染症対策が98.0%、健康保険制度上認められていないが40.0%でした。感染症の流行状況で運用が変わりうることが、この数字からも読み取れます。

費用の扱い

付き添う家族の食事や寝具、駐車場などの費用について、確認した範囲では、診療報酬上の給付や全国一律の助成を定めた規定は見当たりません。令和5年度の調査で寝具の貸与が8割以上、病院食の提供が3割程度と分かれているのは、病院ごとの取扱いだからです。

子どもの入院にかかる医療費そのものは、健康保険と自治体の助成の対象になります。自己負担の範囲は自治体で違うため、子ども医療費助成で調べ方を確認してください。個室を希望した場合の差額ベッド代については差額ベッド代にまとめています。

入院前に確認しておくこと

制度と運用の両方に関わる項目です。入院が決まった段階で、病棟か入院の窓口に聞いておくと当日の見込みが立ちます。

  • 宿泊を伴う付添いができるか(できない場合、面会の時間帯はいつか)
  • 付添いに医師の許可が必要か、どの時点で判断されるか
  • 寝具の貸与があるか、有料か
  • 家族の食事は提供されるか、院内で調達できるか
  • きょうだいを連れて入れるか
  • 付添いを交代できるか(続柄の制限があるか)
  • 相談できる職種(医療ソーシャルワーカー等)がいるか

付添いの最中にどのようなケアを家族が担うかは、病状と病院の方針によって決まります。この記事は制度と運用の枠組みを整理したもので、看護の方法や病状の判断は扱いません。具体的な内容は主治医と病棟の看護師に確認してください。日中の預け先が必要なときの制度は病児保育、日常的に医療的ケアが必要な場合の支援は医療的ケア児にまとめています。

よくある質問

付き添い入院は法律で禁止されているのですか。
禁止されているのは「患者の負担による、病院の従業者以外の者による看護」です(保険医療機関及び保険医療養担当規則第11条の2)。診療報酬の通知では、病状により、または治療の理解が難しい小児患者等の場合に、医師の許可を得て患者の負担によらない家族等が付き添うことは差し支えないとされています。
「付添い」と「面会」はどう違いますか。
国の調査(令和5年度・入院中のこどもへの家族等の付添いに関する病院実態調査)では、宿泊を伴う場合を付添い、伴わない場合を面会と定義しています。病院の案内もこの区別で書かれていることがあります。
希望すれば必ず付き添えますか。
医師の許可が前提です。令和3年度の厚生労働省の調査では、回答した病院(89施設・回収率29.7%)の小児科病棟のうち91.1%が、希望した場合に医師の許可を得て付添いを認めることがあると回答しています。感染症の流行状況などで運用が変わることがあります。
付き添う家族の食事や布団はどうなりますか。
病院ごとに違います。令和5年度の調査では、寝具の貸与は8割以上の機関が行い、家族への病院食の提供は3割程度で、コンビニでの調達が最多と報告されています。入院前に病棟へ確認してください。
付添いの費用に助成はありますか。
確認した範囲では、付添いに要する費用について診療報酬上の給付や全国一律の助成を定めた規定は見当たりません。病院や自治体の独自の取組がある場合があるため、医療ソーシャルワーカーに相談してください。
家族が付き添うと看護師の仕事を代わりにすることになりますか。
診療報酬の通知では、患者の負担によらない家族等による付添いであっても、病院の看護要員による看護を代替したり看護力を補充するようなことがあってはならないとされています。担う範囲は主治医と病棟の看護師に確認してください。

本記事は制度・費用・選び方に関する一般的な情報の整理であり、医学的助言ではありません。個別の症状・治療については、かかりつけ医・受診先の医療機関にご相談ください。制度・金額は記事内記載の時点の情報です。

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