妊婦健診の費用と補助券|自治体で違う助成の仕組みと自己負担
妊婦健診は保険適用外ですが、自治体から交付される補助券で費用の大部分をまかなえます。標準的な14回の健診スケジュール、補助券で足りない場合の自己負担、里帰り出産や引っ越しのときの手続きを整理しました。
執筆: 産婦人科と小児科の教科書 編集部
市区町村が実施する子宮頸がん検診は、厚生労働省の「がん予防重点健康教育及びがん検診実施のための指針」にもとづいています。子宮頸がん検診の基本形は次のとおりです。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 対象 | 20歳以上の女性 |
| 間隔 | 2年に1回 |
| 検査項目 | 問診、視診、子宮頸部の細胞診、内診 |
「2年に1回」は、毎年受けるものではないという意味でもあります。前回の受診年を確認したうえで、対象になる年に案内が届く自治体が多くなっています。
指針は、細胞診による子宮頸がん検診について受診を特に推奨する者を20歳以上69歳以下としています。これに該当しない年齢の人にも受診の機会を提供するよう留意することが、あわせて書かれています。
なお、この指針は市区町村が住民に対して行う検診(対策型検診)のものです。職場の健診に含まれている場合や、自分で医療機関に申し込んで受ける場合は、対象年齢や間隔が異なることがあります。
2024年4月から、子宮頸がん検診の方法としてHPV検査単独法が指針に追加されました。HPV検査は、子宮頸がんの原因となる高リスク型HPV(ヒトパピローマウイルス)に感染しているかどうかを調べる検査です。従来の細胞診との違いは次のとおりです。
| 細胞診 | HPV検査単独法 | |
|---|---|---|
| 対象 | 20歳以上 | 30歳からの5年刻みの年齢(節目年齢) |
| 間隔 | 2年に1回 | 5年に1回 |
| 陽性・要精検のとき | 精密検査 | 細胞診(トリアージ検査)を行い、結果に応じて精密検査または1年後の追跡検査 |
ここで重要なのは、HPV検査単独法はすべての自治体で実施されているわけではないという点です。導入には、指針に沿った実施、担当者の研修受講、受診者の結果を長期に追跡できるデータベースの整備など、いくつかの要件を満たす必要があります。20歳代は細胞診の対象です。
どちらの方法で実施しているかは市区町村によって違います。お住まいの自治体の案内で確認してください。検査結果の意味や、その後の検査については受診した医療機関でご確認ください。
市区町村が実施する子宮頸がん検診の自己負担額は、自治体が定めています。無料としているところもあれば、数百円から2千円程度の自己負担を設けているところもあります。金額は自治体ごとに違うため、住んでいる市区町村の案内で確認してください。
自治体によっては、特定の年齢の人に無料クーポン券を発行している場合があります。届いた案内は使用期限があることが多いので、届いた時点で受診時期を決めておくとよいでしょう。
一方、市区町村の検診の対象外の年齢で受ける場合や、自分の希望で医療機関に申し込んで受ける場合は、原則として全額自己負担になります。症状があって受診する場合は保険診療になることがありますが、その判断は受診先で行われます。
市区町村の検診の自己負担額とは別に、症状があって医療機関を受診し保険診療になった場合の費用は、全国共通の診療報酬点数表で決まります。1点は10円で計算し、窓口での支払いはそのうちの自己負担割合(多くの場合3割)です。関係するのは次の点数です。
| 項目 | 点数 | 3割負担のときの目安 |
|---|---|---|
| 初診料(A000) | 291点 | 約870円 |
| 再診料(A001) | 76点 | 約230円 |
| 細胞診(N004・婦人科材料等によるもの) | 150点 | 約450円 |
| 婦人科材料等液状化検体細胞診加算 | 45点 | 約140円 |
実際の会計は、この日に行われた検査や処置を合計したものになります。どの検査を行うかは受診先が判断するため、事前に総額を確定させることはできません。それでも、桁の見当をつける材料にはなります。
ここで整理しておきたいのは、次の3つが別の仕組みだということです。
「子宮頸がんと子宮体がんの検査を一度に受けられるか」は、費用とあわせて聞かれることの多い点です。指針では、子宮体部の細胞診(子宮内膜細胞診)は、子宮頸がん検診の問診の結果によって扱いが変わるとされています。
具体的には、問診で最近6か月以内に不正性器出血、月経異常、褐色帯下のいずれかがあったことが分かった場合、第一選択は、多様な検査を実施できる医療機関への受診勧奨です。そのうえで、子宮頸がん検診とあわせて子宮体部の細胞診を実施することに本人が同意した場合には、続けて実施するとされています。
つまり、子宮体がんの検査は希望すれば誰でも検診として受けられるものではなく、問診の結果と本人の同意が前提になります。症状の意味や検査の要否の判断は受診先で行われますので、気になる症状があるときは、検診の案内を待たずに産婦人科・婦人科にご相談ください。
市区町村の検診は、おおむね次の流れになります。
委託先の医療機関は、産婦人科・婦人科であることが一般的です。自治体の一覧に掲載されている施設で受けることが条件になっている点に注意してください。
お住まいの地域の産婦人科・婦人科は全国の産婦人科を都道府県から探すで確認できます。当サイトは厚生労働省の公的データにもとづいて全国の施設を掲載していますが、検診を実施しているかどうかは自治体の委託先一覧と各施設の案内でご確認ください。
妊娠中は、妊婦健診の中で子宮頸がんの検査が行われます。これは自治体の公費負担の対象となる検査項目に含まれており、妊娠初期の血液検査などとあわせて実施されるのが一般的です。
つまり、妊娠が分かって妊婦健診を受け始めた場合、その中で検査を受けることになります。市区町村の検診の受診券が手元にある場合は、重複しないよう受診先に伝えておくとよいでしょう。
妊婦健診の費用と補助券の仕組みは妊婦健診の費用と補助券で整理しています。妊娠を考えている段階での受診については、産婦人科の初診費用もあわせてご覧ください。
子宮頸がん検診は、案内が届いてから予約するまでに時間が空きやすい検診です。次の点を決めておくと動きやすくなります。
妊娠を考えている場合は、妊娠前に一度受けておくと、妊娠後の予定が立てやすくなります。不妊治療を受ける場合の保険適用の条件は不妊治療の保険適用にまとめました。健診と検診で費用の仕組みが違う点は健診と検診の違いで整理しています。
本記事は制度・費用・選び方に関する一般的な情報の整理であり、医学的助言ではありません。個別の症状・治療については、かかりつけ医・受診先の医療機関にご相談ください。制度・金額は記事内記載の時点の情報です。
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