マタハラの法律上の定義|均等法9条3項と15条の2本立て
マタハラは法律用語ではなく、均等法9条3項の不利益取扱いの禁止と、15条1項のハラスメント防止措置義務に分かれます。指針の2類型、事業主が講ずる措置、労働局への相談と調停まで、条文と指針で確認します。
執筆: 産婦人科と小児科の教科書 編集部
一般に生理休暇と呼ばれる制度の根拠は、労働基準法第68条です。条文の見出しは「生理日の就業が著しく困難な女性に対する措置」で、本文は次の1文だけです。
使用者は、生理日の就業が著しく困難な女性が休暇を請求したときは、その者を生理日に就業させてはならない。
つまり、休暇を請求すること自体が要件です。会社が許可を出す制度ではありません。請求があれば、会社はその日に働かせることができません。違反した使用者には30万円以下の罰金の定めがあります(同法第120条)。
厚生労働省の「労働基準法のあらまし(生理休暇)」は、対象となる女性を「生理日において下腹痛、腰痛、頭痛等により就業が困難な女性」と説明し、従事している業務を問わず請求できるとしています。
どの程度の症状なら「著しく困難」にあたるかを、本人以外が線引きする基準は法律にありません。この記事でも症状の程度の判断は行いません。
毎月の痛みや体調の変化が強い場合は、休暇の取り方とは別に、婦人科で相談する選択肢があります。受診先の探し方は産婦人科の選び方で整理しています。
厚生労働省は、休暇の日数について次のように説明しています。
休暇の日数については、生理期間、その間の苦痛の程度あるいは就労の難易は各人により異なるものであり、就業規則その他によりその日数を限定することはできません。
「生理休暇は月1日まで」のように、取れる日数そのものを就業規則で制限することはできない、という意味です。
また、請求は暦日単位でなくてもよく、半日や時間単位で請求された場合は、その範囲で就業させなければよいとされています。午前だけ休む、といった取り方も条文の範囲内です。
第68条は「就業させてはならない」と定めるだけで、賃金については何も定めていません。厚生労働省の「働く女性の心とからだの応援サイト」も、生理休暇は有給でも無給でも差し支えなく、賃金の取り扱いは会社の定めによると説明しています。
| 生理休暇(第68条) | 年次有給休暇(第39条) | |
|---|---|---|
| 取れる条件 | 生理日の就業が著しく困難で、請求したとき | 6か月継続勤務し、全労働日の8割以上出勤 |
| 日数 | 就業規則で限定できない | 勤続年数等に応じて法律で決まる |
| 賃金 | 会社の定めによる(無給でもよい) | 支払いが必要 |
給与明細や就業規則で、生理休暇が有給扱いか、欠勤控除の対象かを確認しておくと安心です。
年次有給休暇は、全労働日の8割以上出勤したことが付与の条件です。第39条第10項は、出勤率の計算で「出勤したものとみなす」期間として、業務上のけがや病気の休業、育児休業、介護休業、産前産後休業を挙げています。
この列挙に生理休暇は含まれていません。生理休暇の日を出勤率の計算でどう扱うかは、就業規則の定めを確認してください。扱いに疑問があるときは労働基準監督署に相談できます。
第68条は請求の方法を定めていません。会社の手続き(勤怠システムでの申請区分など)に沿って、生理休暇として請求したことが分かる形で伝えるのが確実です。
診断書の提出が必要かどうかについて、確認した厚生労働省の解説には記載が見当たりませんでした。勤務先が証明を求める定めを置いている場合は就業規則を確認し、取り扱いに迷うときは労働基準監督署に相談してください。
パート・アルバイト・派遣などの雇用形態について、第68条は区別を設けていません。条文の対象は「女性」です。
請求したのに休ませてもらえない、生理休暇を理由に不利益な扱いを受けたといった場合は、労働基準監督署が相談先です。職場の制度づくりやハラスメントについては、都道府県労働局の雇用環境・均等部(室)でも相談できます。
妊娠中・産後の働き方の決まりは別の条文にまとまっています。夜勤や残業の制限は妊婦の夜勤は断れる?、妊娠・出産を理由とする不利益取扱いはマタハラの法律上の定義をご覧ください。
本記事は制度・費用・選び方に関する一般的な情報の整理であり、医学的助言ではありません。個別の症状・治療については、かかりつけ医・受診先の医療機関にご相談ください。制度・金額は記事内記載の時点の情報です。
マタハラは法律用語ではなく、均等法9条3項の不利益取扱いの禁止と、15条1項のハラスメント防止措置義務に分かれます。指針の2類型、事業主が講ずる措置、労働局への相談と調停まで、条文と指針で確認します。
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