母性健康管理指導事項連絡カードとは|均等法18条とカードなしでの申出可否
母性健康管理指導事項連絡カード(母健連絡カード)は均等法18条(2026年10月1日の改正で旧13条から繰り下がり)にもとづく制度です。法的根拠、様式の欄構成と書き方、提出の流れ、事業主が講ずべき措置、カードなしでの申出、不利益取扱いの禁止を条文と厚生労働省の資料で整理しました。
執筆: 産婦人科と小児科の教科書 編集部
労働基準法第66条第3項は、「使用者は、妊産婦が請求した場合においては、深夜業をさせてはならない。」と定めています。ここでいう妊産婦は、同法第64条の3で「妊娠中の女性及び産後一年を経過しない女性」と定義されています。
深夜業とは、午後10時から午前5時までの間の就業のことです(厚生労働省「働く女性の母性健康管理のために」)。夜勤のシフトでこの時間帯にかかる勤務は、請求があれば入れることができません。
厚生労働省の「働く女性の心とからだの応援サイト」も、妊産婦は夜勤や残業の依頼を拒否できると説明しています。違反した使用者には、6か月以下の拘禁刑または30万円以下の罰金の定めがあります(同法第119条)。
第66条は3つの項とも「妊産婦が請求した場合においては」という書き方です。妊娠を会社に伝えただけでは、深夜業の制限は始まりません。夜勤を外してほしいときは、深夜業をさせないよう請求することをはっきり伝える必要があります。
請求の方法について、法律に決まった様式は確認した範囲では見当たりません。口頭でも請求にあたりますが、いつから・どの勤務を外してほしいかを書面やメールで残しておくと、後で行き違いが起きにくくなります。
産前休業(第65条第1項)も同じく請求で始まる休業です。夜勤の制限と産休の開始時期をあわせて考える場合は、産休はいつから?もご覧ください。
第66条は深夜業だけでなく、労働時間の長さも請求によって制限できるようにしています。
| 項 | 請求した場合に使用者ができないこと |
|---|---|
| 第1項 | 変形労働時間制(1か月単位・1年単位・1週間単位)の下でも、1週40時間・1日8時間を超えて労働させること |
| 第2項 | 時間外労働をさせること、休日に労働させること |
| 第3項 | 深夜業をさせること |
第1項で除外される変形労働時間制は、第32条の2・第32条の4・第32条の5の3つです。条文上、フレックスタイム制(第32条の3)はこの列挙に含まれていません。
3つの項は別々の定めなので、夜勤だけ外したい、残業も止めたいなど、必要な範囲を具体的に伝えると調整が進みやすくなります。
労働基準法第41条第2号の管理監督者には、「労働時間、休憩及び休日に関する規定」が適用されません。第66条第1項・第2項は労働時間と休日の制限なので、この適用除外との関係が問題になります。
一方、第41条の文言に「深夜業」は含まれていません。ただし、妊産婦の深夜業の制限が管理監督者にも適用されるかを明示した厚生労働省の解説は、確認した範囲では見当たりませんでした。
なお、厚生労働省は育児・介護休業法の解説で、管理監督者にあたるかどうかは名称にとらわれず実態に即して判断すると説明しています。役職名が「管理職」でも管理監督者にあたらない場合があります。該当する方は、勤務先の人事か労働基準監督署に確認してください。
妊娠中は、請求すれば他の軽易な業務への転換を求めることもできます(第65条第3項)。
また、請求がなくても就かせてはならない業務があります。第64条の3と女性労働基準規則第2条は、妊娠中の女性を重量物を取り扱う業務などに就かせることを禁じています。重量物の上限は満18歳以上で断続作業30kg、継続作業20kgです。産後1年以内の女性については、一部の業務は本人が従事しない旨を申し出た場合に制限されます。
医師から通勤や勤務時間について指導を受けた場合は、男女雇用機会均等法にもとづく措置を会社に求められます。指導内容を会社に伝える書式は母性健康管理指導事項連絡カードで解説しています。夜勤を続けてよいかどうかといった体調面の判断は、健診先の医師にご相談ください。
産後1年を経過すると、労働基準法第66条の対象から外れます。その後は育児・介護休業法第19条の深夜業の制限が使えます。
労働基準法第66条には「事業の正常な運営を妨げる場合」の例外がありません。育児・介護休業法第19条にはこの例外があるため、同じ深夜業の制限でも強さが違います。
男女雇用機会均等法第9条第3項は、妊娠・出産や、労働基準法第66条などの請求をしたことを理由とする解雇その他の不利益な取扱いを禁じています。詳しくはマタハラの法律上の定義で整理しています。
会社が請求に応じない、請求後に不利益な扱いを受けたといった場合は、労働基準法の違反は労働基準監督署、均等法の問題は都道府県労働局の雇用環境・均等部(室)が相談先です。どちらも相談は無料です。
本記事は制度・費用・選び方に関する一般的な情報の整理であり、医学的助言ではありません。個別の症状・治療については、かかりつけ医・受診先の医療機関にご相談ください。制度・金額は記事内記載の時点の情報です。
母性健康管理指導事項連絡カード(母健連絡カード)は均等法18条(2026年10月1日の改正で旧13条から繰り下がり)にもとづく制度です。法的根拠、様式の欄構成と書き方、提出の流れ、事業主が講ずべき措置、カードなしでの申出、不利益取扱いの禁止を条文と厚生労働省の資料で整理しました。
マタハラは法律用語ではなく、均等法9条3項の不利益取扱いの禁止と、15条1項のハラスメント防止措置義務に分かれます。指針の2類型、事業主が講ずる措置、労働局への相談と調停まで、条文と指針で確認します。
産休開始日は、出産予定日を1日目として遡って42日目(多胎妊娠は98日目)です。労働基準法65条は産前6週間・多胎14週間、産後8週間と定めています。日数の数え方、予定日とずれたときの扱い、雇用形態による違い、産休前に済ませておくことを整理しました。