パート・派遣でも産休は取れる?|産休・出産手当金・育休・育休給付を雇用形態別に整理

執筆: 産婦人科と小児科の教科書 編集部

産前産後休業(産休)は労働基準法第65条にもとづく休業で、パート・アルバイト・派遣・契約社員でも取れます。一方、産休中の出産手当金は勤務先の健康保険の被保険者であること、育児休業は有期契約なら子が1歳6か月になるまでに契約が終わることが明らかでないこと、育児休業給付は雇用保険の被保険者であることなどが条件です。4つの制度は根拠の法律が別で、それぞれ条件が違います。

4つの制度は根拠の法律が別

「パートでも産休は取れるか」という問いには、実は4つの制度が含まれています。

制度根拠使えるかを分けるもの
産前産後休業労働基準法第65条雇用形態を問わない
出産手当金健康保険法第102条勤務先の健康保険の被保険者か
育児休業育児・介護休業法第5条有期契約の場合は契約期間の見込み
育児休業給付雇用保険法第61条の7雇用保険の被保険者か、加入期間

休業できるか(労働法)と、休業中にお金が出るか(社会保険)は別の話です。順に見ていきます。

産休:雇用形態に関係なく取れる

労働基準法第65条は、6週間(多胎妊娠は14週間)以内に出産予定の女性が請求すれば就業させてはならず、産後8週間を経過しない女性は就業させてはならないと定めています。条文の対象は「女性」で、正社員かどうかの区別はありません。

厚生労働省も、母性健康管理の措置について、パートタイム労働者、派遣労働者、有期契約労働者、日々雇用される者も対象に含まれると説明しています。

また、産休期間とその後30日間は解雇が禁じられています(同法第19条)。産休の日数の数え方は産休はいつから?で解説しています。

出産手当金:勤務先の健康保険に入っているか

健康保険法第102条は、被保険者が出産したとき、出産日以前42日(多胎は98日)から出産日後56日までの間で仕事を休んだ期間に出産手当金を支給すると定めています。

  • パートでも、勤務先の健康保険に加入していれば対象です。給与明細で健康保険料が引かれているかが目安になります。
  • 家族の健康保険の被扶養者として加入している場合は、出産手当金の対象ではありません。
  • 国民健康保険では、出産手当金は法律上の必須の給付ではありません(国民健康保険法第58条第2項で、条例による任意の給付とされています)。

退職した場合も、資格喪失の前日まで引き続き1年以上被保険者で、資格喪失時に出産手当金を受けているなどの条件を満たせば、残りの期間を受け取れます(健康保険法第104条)。金額の計算は出産手当金の支給要件と金額をご覧ください。

育児休業:有期契約は契約期間の見込みで決まる

育児・介護休業法第5条第1項は、1歳に満たない子を養育する労働者は育児休業ができると定めたうえで、期間を定めて雇用される人については、子が1歳6か月に達する日までに労働契約が満了することが明らかでない場合に限るとしています。契約の更新が予定されている場合は、更新後の契約で判断します。

このほかの決まりは次の2つです。

  • 日々雇用される人は、育児休業の対象外です(第2条第1号)。
  • 労使協定があれば、引き続き雇用された期間が1年未満の人などを対象外にできます(第6条第1項)。

勤務先に労使協定があるかは、就業規則や人事に確認してください。

育児休業給付:雇用保険の加入と12か月

育児休業給付金は雇用保険から出ます。雇用保険法第6条は、1週間の所定労働時間が20時間未満の人などを適用除外としています。

厚生労働省のQ&Aによると、支給には休業開始日前2年間に、賃金支払基礎日数が11日以上(ない場合は就業時間80時間以上)の月が12か月以上あることが必要です。

有期雇用の人は、これに加えて、子が1歳6か月までの間に労働契約の期間が満了することが明らかでないことが必要です(Q52)。支給額の計算は育児休業給付金はいくら?で解説しています。

派遣の場合:手続きは派遣元、母性健康管理は派遣先にも

派遣で働く人が雇用契約を結んでいる相手は派遣元です。産休や育休の申出、健康保険・雇用保険の手続きは派遣元が窓口になります。

一方、労働者派遣法第47条の2は、妊娠・出産を理由とする不利益取扱いの禁止や、妊娠中・出産後の健康管理の措置などについて、派遣先も雇用する事業主とみなして男女雇用機会均等法を適用すると定めています。厚生労働省も、派遣元と派遣先のいずれにも母性健康管理の措置義務があると説明しています。

健診のための時間の確保や、医師の指導にもとづく勤務の配慮も、派遣先の義務に含まれます。医師の指導を伝える書式は母性健康管理指導事項連絡カードで解説しています。

確認する順番と相談先

  1. 給与明細で、健康保険料と雇用保険料が引かれているか
  2. 契約書で、契約期間と更新の有無
  3. 就業規則で、育児休業の労使協定による除外があるか

産休・育休を理由とする不利益な扱いや、制度の利用を断られた場合は、都道府県労働局の雇用環境・均等部(室)が相談先です。出産手当金は加入している健康保険(協会けんぽの支部や健康保険組合)、育児休業給付はハローワークが窓口です。

よくある質問

パートでも産休は取れますか?
取れます。労働基準法第65条は雇用形態による区別をしておらず、産前は請求により6週間(多胎は14週間)、産後は8週間の休業が定められています。
パートでも出産手当金はもらえますか?
勤務先の健康保険の被保険者であれば対象です。家族の扶養に入っている場合や国民健康保険の場合は、原則として対象になりません。
契約社員でも育休は取れますか?
子が1歳6か月に達する日までに労働契約が満了することが明らかでなければ取れます(育児・介護休業法第5条第1項)。労使協定で入社1年未満の人などが除外されている場合があります。
派遣社員の産休は誰に申し出ますか?
雇用契約を結んでいる派遣元に申し出ます。社会保険の手続きも派遣元が窓口です。妊娠中の健康管理の措置は、派遣先にも義務があります。
育休給付金の条件は何ですか?
雇用保険の被保険者であり、休業開始日前2年間に賃金支払基礎日数11日以上(ない場合は就業80時間以上)の月が12か月以上あることなどです。有期雇用の場合は、子が1歳6か月までに契約が満了することが明らかでないことも必要です。

本記事は制度・費用・選び方に関する一般的な情報の整理であり、医学的助言ではありません。個別の症状・治療については、かかりつけ医・受診先の医療機関にご相談ください。制度・金額は記事内記載の時点の情報です。

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