育児目的休暇とは|育児・介護休業法24条の努力義務と、配偶者出産休暇・入園式に使える休暇の例

執筆: 産婦人科と小児科の教科書 編集部

育児目的休暇は、小学校就学前の子を育てる労働者のために、育児に関する目的で使える休暇を設けるよう事業主に求めた制度です(育児・介護休業法第24条第1項、2017年10月1日施行)。義務ではなく努力義務で、法律に日数の定めはありません。厚生労働省の指針は、配偶者の出産に伴う「配偶者出産休暇」や、入園式・卒園式などの行事にも使える多目的休暇を例に挙げています。休暇があるか、何日か、有給か無給かは、勤め先の就業規則で決まります。

育児目的休暇は育児・介護休業法24条1項の努力義務

育児目的休暇の根拠は、育児・介護休業法(育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律)第24条第1項です。条文は、事業主に対して次のように定めています。

事業主は、その雇用する労働者のうち、その小学校就学の始期に達するまでの子を養育する労働者に関して、労働者の申出に基づく育児に関する目的のために利用することができる休暇(中略)を与えるための措置(中略)を講ずるように努めなければならない。

ポイントは3つです。

  • 対象:小学校就学の始期に達するまで(小学校入学前)の子を養育する労働者
  • 中身:労働者の申出に基づき、育児に関する目的で使える休暇
  • 強さ:「講ずるように努めなければならない」=努力義務

この規定は、2017(平成29)年10月1日施行の改正で「育児目的休暇の導入促進」として設けられました。厚生労働省の施行通達は、小学校入学前の時期は親が子の養育にかなりの時間と労力を費やす時期であり、雇用の継続のために事業主に努力義務を課したものだと説明しています。

努力義務なので、会社に制度がなくても、それだけで法律違反になるわけではありません。また、条文にも指針にも日数の定めはありません。

どんな休暇が当たるのか(指針と施行通達の例)

厚生労働省の指針(子の養育又は家族の介護を行い、又は行うこととなる労働者の職業生活と家庭生活との両立が図られるようにするために事業主が講ずべき措置等に関する指針)は、第二の十二で育児目的休暇の例を2つ挙げています。

  1. 配偶者出産休暇:配偶者の出産に伴い取得することができる、いわゆる配偶者出産休暇
  2. 多目的休暇:入園式、卒園式等の行事参加も含めた育児にも利用できる多目的休暇(いわゆる失効年次有給休暇の積立による休暇制度の一環として設けることを含む)

指針は、これらの休暇が「必ずしも単独の制度である必要はない」としています。たとえば、育児以外の目的にも使える特別休暇の中に育児の用途が含まれていれば、それも当たり得ます。

施行通達は、さらに次の点を補足しています。

  • 指針の2つは例示で、これらに限られない。企業の規模や職場の状況に応じて事業主が適切と考える措置をとれるよう示したもの
  • 多目的休暇の「行事」には、両親学級や遠足など様々なものが想定される
  • 失効した年次有給休暇の積立制度として設ける場合は、育児を目的とするものであることが明らかにされている必要がある

また、条文の括弧書きは、この休暇に「出産後の養育について出産前において準備することができる休暇」を含むとしています。子が生まれる前の準備に使える休暇も、育児目的休暇に入るということです。

なお、休暇を使うかどうかは、指針で「労働者の選択に任せられるべきもの」とされています。

子の看護等休暇・年次有給休暇とは別枠

第24条第1項の括弧書きは、次の休暇を育児目的休暇から除くと定めています。どれも別の条文で定められた休暇で、育児目的休暇はそれらとは別に会社が設けるもの、という整理です。

休暇根拠会社の義務対象・日数
子の看護等休暇育児・介護休業法第16条の2申出を拒めない(義務)小学校第3学年修了前の子。1年度5労働日(2人以上は10労働日)。病気・けが、予防接種・健診、学級閉鎖等、入園(入学)式・卒園式への参加
3歳から小学校就学前の子のための休暇同法第23条の3第1項第4号会社が5つの措置から2つ以上を選んで設ける義務があり、休暇はその選択肢の1つ選んだ場合は1年間に10労働日以上(施行規則第75条の3第4項)
年次有給休暇労働基準法第39条義務勤続期間・出勤率の要件を満たす労働者。10日〜
育児目的休暇育児・介護休業法第24条第1項努力義務小学校就学前の子。日数の定めなし

入園式や卒園式は、2025年4月からは子の看護等休暇の取得事由にも入っています(施行規則第33条の2)。会社に育児目的休暇がなくても、子の看護等休暇の年5日(2人以上は10日)の範囲で使える場合があります。詳しくは子の看護等休暇で整理しています。

配偶者出産休暇と、産後パパ育休・取得率の公表との関係

「配偶者出産休暇」という名前の休暇は、法律に条文があるわけではありません。指針が育児目的休暇の例として挙げているもので、日数や有給かどうかは会社ごとに決まります。

施行通達には、配偶者出産休暇が登場する箇所がほかに2つあります。

  • 産後パパ育休(出生時育児休業)との関係:会社にすでにある育児目的の休暇(法定の休暇を除く)が、出生時育児休業の取得日数以外の要件を満たすものであれば、その休暇の日数も含めて4週間が確保されればよい、と解釈されています。休暇の扱い方は会社の規程しだいなので、両方を使う予定があれば、人事に組み合わせ方を確認してください。制度の全体は産後パパ育休にまとめています。
  • 男性の育児休業取得率の公表:常時雇用する労働者が300人を超える会社は、育児休業の取得状況を年1回以上公表しなければなりません(第22条の2)。公表の割合の1つは、育児休業等に加えて「育児を目的とした休暇制度」を利用した男性も数える方式です(施行規則第71条の6第2号)。通達はその例として、失効年休の育児目的での使用、いわゆる配偶者出産休暇(取得できる日に配偶者の妊娠中・出産前が含まれていても差し支えない)、育児参加奨励休暇、子の入園式・卒園式等の行事や予防接種等の通院のための外出を認める制度(子の看護等休暇を上回る範囲に限る)を挙げています。

会社が公表している「男性の育休等取得率」に、こうした休暇の利用者が含まれている場合があります。数字を見るときは、どちらの方式で計算されているかも確認すると読み違えにくくなります。

有給か無給か、給付はあるか

育児・介護休業法と指針を確認した範囲では、育児目的休暇の期間中に賃金を支払うことを事業主に義務づける規定は見当たりません。有給か無給かは、就業規則や労使の取り決めで決まります。

雇用保険の育児休業給付は育児休業を対象とする給付で、育児目的休暇そのものに対する公的な給付は、確認した範囲では見当たりませんでした。育児休業中の給付については育児休業給付金で整理しています。

年次有給休暇とは別枠の制度なので、会社に育児目的休暇があれば、年休の残日数を減らさずに使える場合があります。逆に、制度がない会社では、年次有給休暇や子の看護等休暇で対応することになります。

勤め先の制度を確認する順番

育児目的休暇は、就業規則では「育児目的休暇」という名前でないことがよくあります。次の順で見ていくと探しやすくなります。

  1. 就業規則・育児介護休業規程で「育児目的休暇」「育児参加休暇」の条を探す
  2. 「特別休暇」「慶弔休暇」の一覧に、配偶者の出産に伴う休暇があるか、日数と有給か無給かを確認する
  3. 失効した年次有給休暇の積立制度があれば、育児の用途に使えるかを確認する
  4. 入園式・卒園式などの行事なら、子の看護等休暇の対象になるかを確認する
  5. 分からないときは人事・労務の担当に聞く。制度の解釈で迷うときは、都道府県労働局の雇用環境・均等部(室)が相談窓口

配偶者の出産前後に休みを取る予定がある場合は、育児目的休暇・産後パパ育休・パパ・ママ育休プラスをどう組み合わせるかを、早めに会社と話しておくと調整しやすくなります。

よくある質問

育児目的休暇は法律で義務になっていますか。
義務ではなく努力義務です。育児・介護休業法第24条第1項は、小学校就学前の子を養育する労働者について、育児に関する目的で利用できる休暇を設けるよう努めることを事業主に求めています。会社に制度がなくても、それだけで法律違反にはなりません。
育児目的休暇は何日取れますか。
法律にも指針にも日数の定めはありません。休暇があるか、何日か、有給か無給かは、勤め先の就業規則で決まります。
配偶者出産休暇は法律で決まった休暇ですか。
法律に配偶者出産休暇の条文はありません。厚生労働省の指針が、育児目的休暇の例として「配偶者の出産に伴い取得することができるいわゆる配偶者出産休暇」を挙げています。日数や有給かどうかは会社ごとに決まります。
入園式や卒園式に使える休暇はありますか。
2025年4月から、入園(入学)式・卒園式への参加は子の看護等休暇の取得事由に入っています(小学校第3学年修了前の子、1年度5労働日、2人以上は10労働日)。会社によっては、育児目的休暇や多目的休暇として別に設けている場合もあります。
育児目的休暇は有給ですか。
確認した範囲では、賃金の支払いを義務づける規定は見当たりません。有給か無給かは就業規則や労使の取り決めで決まります。雇用保険からの給付も、確認した範囲では設けられていません。

本記事は制度・費用・選び方に関する一般的な情報の整理であり、医学的助言ではありません。個別の症状・治療については、かかりつけ医・受診先の医療機関にご相談ください。制度・金額は記事内記載の時点の情報です。

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