産後パパ育休とは|4週間×2回の枠組みと給付金で手取り10割相当になる仕組み

執筆: 産婦人科と小児科の教科書 編集部

産後パパ育休(出生時育児休業)は、子の出生後8週間以内に4週間(28日)まで、2回に分けて取得できる休業制度で、通常の育児休業とは別に使えます。雇用保険から賃金の67%の出生時育児休業給付金が支給され、要件を満たすと出生後休業支援給付金13%が上乗せされて手取り10割相当になります。

制度の全体像:男性の育休は「2階建て」

男性が取れる育児休業は、大きく2つに分かれています。

制度取得できる期間分割
産後パパ育休(出生時育児休業)子の出生後8週間以内に4週間(28日)まで2回まで
育児休業原則、子が1歳になるまで(保育所に入れない場合などは1歳6か月・2歳まで延長可)2回まで

産後パパ育休は通常の育児休業とは別枠なので、両方を組み合わせると出生直後に2回+その後の育休2回という柔軟な取り方ができます。

産後パパ育休は2022年10月の育児・介護休業法改正で導入された枠組みで、「男性版産休」と呼ばれることもあります。

対象と取り方:出生後8週間の中で柔軟に設計できる

産後パパ育休は、子の出生後8週間以内に休業する労働者のための制度です。「パパ育休」という通称ですが、法律上は主に産後休業のない父親の取得を想定した枠組みです。

取り方の例としては、出産直後の入院・退院の時期に1回目、里帰りから自宅に戻るタイミングで2回目、と分ける形や、まとめて4週間取る形があります。

母親側は産後56日間の産後休業(出産手当金の対象期間)にあたるため、この時期の家事・育児をどう分担するかを軸に計画すると設計しやすくなります。

会社への申出期限:原則、休業の2週間前まで

産後パパ育休は、原則として休業開始予定日の2週間前までに会社へ申し出ます。会社が労使協定を結んでいる場合は、申出期限が最長で1か月前までとされていることがあります。

通常の育児休業には、これとは別の申出期限が定められています。出産予定日がわかったら、就業規則と申出期限の確認を兼ねて、早めに会社の担当部署へ相談しておくと確実です。

申出の時点では出産予定日をもとに計画し、実際の出生日が前後した場合の扱いは会社と調整します。

なお、本人や配偶者の妊娠・出産を申し出た労働者に対しては、会社側が育児休業制度や申出先を個別に知らせ、取得の意向を確認することが義務付けられています。会社からの案内を待つだけでなく、早めに伝えることが出発点になります。

給付金:67%+13%の上乗せで「手取り10割相当」

産後パパ育休の期間には、雇用保険から出生時育児休業給付金が支給されます。給付率は休業開始時賃金日額の67%で、対象は通算28日までです。

さらに2025年4月からは出生後休業支援給付金が始まりました。夫婦がそれぞれ、子の出生直後の一定期間内(男性は子の出生後8週間以内)に14日以上の育児休業を取得すると、最大28日間、賃金の13%が上乗せされます。合計80%の給付は非課税で、要件を満たせば社会保険料も免除されるため、手取りで10割相当になる設計です。

配偶者が専業主婦(夫)や自営業などで雇用保険に加入していない場合は、配偶者側の育休取得は要件になりません。給付の全体像は育児休業給付金の記事で解説しています。

出生時育児休業給付金にも支給額の上限があります。また、28日を超えて休む場合、超えた分は通常の育児休業と育児休業給付金の枠組みで支えられます。

夫婦それぞれの給付額をあわせて確認したいときは、厚生労働省「産休・育休中の経済的支援 かんたん試算ツール」が便利です。ママ・パパのどちらの立場でも試算できます。

休業中の就業:労使協定がある場合に限り部分的に可能

産後パパ育休では、会社が労使協定を結んでいる場合に限り、本人が申し出て合意した範囲で休業中に働くことができます。就業できる日数・時間には上限があります。

ただし、休業中の就業日数や支払われる賃金の額によっては、給付金が減額・不支給になったり、社会保険料免除の対象から外れたりすることがあります。「休業中に少しだけ対応してほしい」と頼まれた場合は、給付への影響を会社やハローワークに確認してから決めるのが安全です。

想定されているのは、引き継ぎのために特定の日だけ勤務するといった限定的な働き方です。無理のない範囲かどうか、給付や免除に影響しないかをセットで確認してください。

注意点:休業の申出と給付・手当の窓口は別々

産後パパ育休に関わる手続きの窓口は、次のように分かれています。

手続き窓口
休業の申出勤務先(原則2週間前まで)
出生時育児休業給付金・出生後休業支援給付金勤務先経由でハローワーク
児童手当・子どもの健康保険加入・医療費助成市区町村・健康保険

出生直後は市区町村での手続きも集中します。父親が動きやすい産後パパ育休の期間は、出産後の手続き一覧を片付ける期間としても有効に使えます。

よくある質問

産後パパ育休と通常の育休は両方取れますか?
取れます。産後パパ育休(子の出生後8週間以内に4週間まで・2回に分割可)とは別に、通常の育児休業も2回まで分割して取得できます。
妻が専業主婦でも、夫は育休や給付金の対象になりますか?
なります。配偶者が働いているかどうかは育児休業の取得の妨げになりません。出生後休業支援給付金も、配偶者が雇用保険に加入していない場合などは配偶者側の育休取得が要件にならない扱いがあります。
会社に断られることはありますか?
産後パパ育休・育児休業は法律に基づく制度で、要件を満たす労働者の申出を会社は原則として拒めません。ただし、労使協定により雇用期間が短い方などが対象外とされている場合があるため、会社の規定を確認してください。
給付金だけで生活できるか不安です。
出生時育児休業給付金は賃金の67%ですが、出生後休業支援給付金の13%上乗せの要件を満たすと、非課税・社会保険料免除の効果も含めて手取り10割相当になる設計です。上乗せには夫婦それぞれ14日以上の育休取得などの要件があります。
取得を理由に不利益な扱いを受けないか心配です。
育児休業などの申出・取得を理由とする解雇や不利益な取り扱いは法律で禁止されています。気になることがある場合は、都道府県労働局の相談窓口を利用できます。

本記事は制度・費用・選び方に関する一般的な情報の整理であり、医学的助言ではありません。個別の症状・治療については、かかりつけ医・受診先の医療機関にご相談ください。制度・金額は記事内記載の時点の情報です。

あわせて読みたい

育児休業給付金はいくら?67%・50%の計算と、13%上乗せの新しい給付

育児休業給付金は雇用保険から支給され、休業開始から180日目までは休業前賃金の67%、181日目以降は50%です。2025年4月に始まった出生後休業支援給付金による13%の上乗せ、対象者の条件、会社経由で行う申請の流れを整理しました。

出産手当金はいくら?対象者・産前産後の支給期間・計算方法と申請手続き

出産手当金は、勤務先の健康保険に加入する本人が産休中に給与を受けられないとき、1日あたり標準報酬日額の3分の2が支給される制度です。産前42日・産後56日の支給期間、計算方法、国民健康保険との違い、申請手続きを整理しました。

出産後にやることリスト|出生届は14日以内、児童手当は15日以内が分かれ目

出生届は戸籍法で14日以内(国外での出産は3か月以内)と定められています。児童手当は出生日の翌日から15日以内の申請かどうかで支給開始月が変わります。健康保険への加入や乳幼児医療費助成まで、産後の手続きを期限順に整理しました。