育児時短就業給付金とは|賃金の10%・2歳未満の子が対象、育休給付とは別

執筆: 産婦人科と小児科の教科書 編集部

育児時短就業給付金は、雇用保険法第61条の12にもとづく給付です。2歳に満たない子を養育するために所定労働時間を短縮して働いた月について、その月の賃金の10%が支給されます。育児休業給付金とは別の給付で、休業した月には支給されません。要件、計算の仕組み、支給されない場合、2026年8月1日から484,121円になった支給限度額を条文で確認します。

名前が似た3つの制度を分ける

「育児」「時短」「休業」が入る制度が複数あり、混ざりやすいところです。根拠法と対象で切り分けます。

制度根拠何に対して出るか
育児時短就業給付金雇用保険法第61条の12時短勤務で働いた月の賃金の10%
育児休業給付金雇用保険法第61条の7休業した期間(休業開始時賃金日額の67%・50%)
育児時間労働基準法第67条給付ではない(1日2回各30分以上の請求権)

育児時短就業給付金は働いている月に出る給付です。休業給付の代わりに出るものではなく、休業が終わって時短で復職した後の減収に対応する位置づけになります。

対象になる人(第61条の12第1項)

条文は対象となる就業をこう定めています。

その二歳に満たない子を養育するための所定労働時間を短縮することによる就業

子が2歳に達するまでが対象です。そのうえで、次のいずれかに当たることが要件になります。

  1. 育児時短就業を開始した日前2年間に、みなし被保険者期間が通算12か月以上あること
  2. 育児休業給付金又は出生時育児休業給付金の支給を受けたことがある被保険者が、その休業に引き続いて育児時短就業をしたこと

2に当たる場合は、12か月の期間の要件を満たさなくても対象になります。産後パパ育休のあとに時短で復職する場合も、出生時育児休業給付金を受けていればこの経路に当たります。

いくら出るのか(第6項)

額は、支給対象月に支払われた賃金の10%が基本です。ただし率が下がる場合と、上限に当たる場合があります。

支給対象月の賃金支給額
時短就業開始時賃金日額×30の90%未満その月の賃金の10%
同90%以上100%未満10%から下がった率(賃金が開始時に近づくほど率が下がる)
同100%以上支給されない
賃金+給付が支給限度額を超えるとき支給限度額から賃金を引いた額

減った賃金の全額が補われる仕組みではありません。働いた月の賃金に対する定率の上乗せです。

支給限度額は毎年8月1日に変わる(第9項)

第2項は、支給対象月に支払われた賃金が支給限度額以上のときは支給しないと定めています。第9項では、この限度額を年度の平均給与額の変動に応じて毎年8月1日以後に変更するとされています。

厚生労働省が公表している額は次のとおりです。

2026年(令和8年)8月1日以後2025年(令和7年)8月1日から
支給限度額484,121円471,393円
最低限度額2,562円2,411円
時短就業開始時賃金月額の上限額496,200円483,300円
時短就業開始時賃金月額の下限額96,090円90,420円

支給対象月の賃金が484,121円以上の月は支給されません。賃金と給付の合計が484,121円を超える月は、484,121円から賃金を引いた額になります。第8項により、計算した額が最低限度額(2,562円)を超えない月も支給されません。

支給されない月がある(第2項・第5項・第10項)

時短で働いていても、次の月は支給の対象になりません。

  • 支給対象月に支払われた賃金が支給限度額以上の月(第2項)
  • 育児休業給付金、出生時育児休業給付金、出生後休業支援給付金、介護休業給付金、教育訓練休暇給付金の対象となる休業等を取得した月(第5項)
  • 計算した額が最低限度額を超えない月(第8項)
  • 高年齢雇用継続給付を受けている期間(第10項で併給できないとされている)

第5項があるため、月の途中で育児休業を取った月は、その月については育児時短就業給付金が出ません。育休を分割して取る場合は、どの月がどの給付の対象になるかを事業主経由で確認しておくと、支給月の見込みがずれません。育休の延長との組み合わせも同じ考え方になります。

手続きと相談先

申請は事業主を通じてハローワークに行うのが原則です。短縮した所定労働時間を確認する書類が必要になるため、就業規則や労働条件通知書の内容とあわせて手続きが進みます。

  • 勤務先の人事・労務担当に、育児時短就業の申出と給付金の手続きをまとめて相談する
  • 所定労働時間の短縮が就業規則上どの制度に当たるか(短時間勤務制度か、個別の取り決めか)を確認する
  • 要件の当てはめで迷うときは、事業所を管轄するハローワークに問い合わせる

2025年4月に始まった給付のため、勤務先で前例がないことがあります。条文と厚生労働省の資料の該当箇所を示して相談すると話が早く進みます。

よくある質問

育児休業給付金と両方受け取れますか。
同じ月について両方は受け取れません。雇用保険法第61条の12第5項で、支給対象月は育児休業給付金などの対象となる休業等を取得しなかった月に限られています。
子どもが何歳まで対象ですか。
第61条の12第1項で「二歳に満たない子を養育するための所定労働時間を短縮することによる就業」が対象とされています。
いくら支給されますか。
支給対象月に支払われた賃金の10%が基本です。賃金が時短就業開始時賃金日額の30日分の90%以上になると率が下がり、100%以上になると支給されません。
月給が50万円だと出ませんか。
2026年8月1日以後の支給限度額は484,121円です。支給対象月に支払われた賃金がこの額以上の月は支給されません。限度額は毎年8月1日以後に変更されます。
入社1年目でも受け取れますか。
時短就業を開始した日前2年間にみなし被保険者期間が通算12か月以上あることが要件の1つです。ただし育児休業給付金または出生時育児休業給付金を受けたことがあり、その休業に引き続いて時短就業をした場合は、この期間の要件によらず対象になります。
どこに申請しますか。
事業主を通じてハローワークに申請するのが原則です。勤務先の人事・労務担当に相談してください。要件の当てはめは事業所を管轄するハローワークで確認できます。

本記事は制度・費用・選び方に関する一般的な情報の整理であり、医学的助言ではありません。個別の症状・治療については、かかりつけ医・受診先の医療機関にご相談ください。制度・金額は記事内記載の時点の情報です。

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