小児用肺炎球菌ワクチンの回数|始めた月齢で4回・3回・2回・1回に変わる

執筆: 産婦人科と小児科の教科書 編集部

小児用肺炎球菌ワクチンの定期接種は、予防接種法施行令第3条で対象が「生後二月から生後六十月に至るまでの間にある者」と定められています。合計回数は一律ではなく、予防接種実施規則第17条が初回接種を始めた月齢で4つに分け、それぞれ回数と間隔を定めています。追加接種の条件、15価と20価の使い分け、費用の仕組みを整理します。

対象は生後2か月から生後60か月(5歳)まで

予防接種法施行令第3条の表は、肺炎球菌感染症(小児がかかるものに限る。)の対象者を「生後二月から生後六十月に至るまでの間にある者」と定めています。生後60か月は5歳にあたるため、5歳の誕生日の前日までが定期接種の対象期間です。

同じ「肺炎球菌」でも、高齢者を対象とするものは別の項として定められており、対象者も使うワクチンも異なります。この記事が扱うのは小児のほうです。

この記事は制度(対象年齢・回数・間隔・費用)を条文と公的資料にもとづいて整理するものです。接種を受けるかどうかの医学的な判断や、有効性・副反応についての説明は行いません。判断はかかりつけ医や市町村の窓口にご相談ください。

合計回数は「いつ始めたか」で変わる

多くのワクチンは回数が一律ですが、小児用肺炎球菌は違います。予防接種実施規則第17条は、初回接種を始めた月齢で対象者を4つに分け、それぞれ別の方法を定めています。

初回接種の開始時初回接種追加接種合計
生後2か月〜7か月に至るまで27日以上の間隔で3回1回4回
生後7か月に至った日の翌日〜生後12か月に至るまで27日以上の間隔で2回1回3回
生後12か月に至った日の翌日〜生後24か月に至るまで60日以上の間隔で2回なし2回
生後24か月に至った日の翌日〜生後60か月に至るまで1回なし1回

接種量はいずれも毎回0.5mLで、筋肉内または皮下に注射すると定められています。上の2区分では初回接種を生後24か月に至るまでの間に終えることも条文に書かれています。

追加接種は「生後12か月以降」かつ「最後の注射から60日以上」

追加接種の条件は同条第2項にあります。対象は初回接種の開始時に生後2か月から生後12か月に至るまでの間にあった者で、初回接種の最後の注射が終わってから60日以上の間隔をおいた後、かつ生後12か月に至った日以降に1回受けるものとされています。

条件が2つ重なっている点が読みどころです。60日が経っていても生後12か月前なら追加接種の時期になりませんし、生後12か月を過ぎていても最後の注射から60日が経っていなければ時期になりません。遅い側の条件が満たされた時点が起点になります。

厚生労働省も、標準的なスケジュールとして「初回接種が終わった後、最後の接種から60日以上あけた上で、生後12か月以降に1回接種します」と同じ内容を示しています。

「生後12か月を超えて2回目」だと3回目を行わないという条文

生後2か月から7か月に至るまでの間に始めた場合の欄には、ただし書きが付いています。

ただし、生後十二月を超えて第二回目の注射を行った場合は、第三回目の注射を行わないものとする。

初回3回のつもりで始めても、2回目が生後12か月を超えた時点で、初回接種の3回目は行わないという定めです。この場合でも追加接種の対象からは外れないため、進み方によって合計回数は変わります。

予定より間隔が空いてしまったときにどう組み直すかは、母子健康手帳の接種記録をもとに判断されます。厚生労働省も、細かいルールの詳細は母子健康手帳・自治体・接種を受ける医療機関に確認するよう案内しています。当サイトで個別の組み直しの判断はいたしません。

使うワクチンは15価か20価(2024年10月以降は原則20価)

予防接種実施規則第17条は、使用するワクチンを「沈降十五価肺炎球菌結合型ワクチン又は沈降二十価肺炎球菌結合型ワクチン」と定めています。

厚生労働省は、2024年10月以降は原則として沈降20価(PCV20)を使用し、沈降15価(PCV15)も使用可能としています。あわせて、PCV15で接種を開始した場合は原則としてPCV15で全ての接種を行うよう案内しています。

厚生労働省の説明
PCV202024年10月から定期接種に使用することとされた
PCV152024年4月から使用されている。引き続き使用可能

回数と間隔の定めは、どちらのワクチンでも同じです。どちらを受けたかは母子健康手帳の記録で確認できます。

受けられなかったときと、費用

長期にわたり療養を必要とする疾病にかかったことなど、特別の事情で定期接種を受けられなかったと市町村が認めた場合の扱いは、同条第3項にあります。この場合は「初回接種の開始時に生後二十四月に至った日の翌日から生後六十月に至るまでの間にある者」とみなすと定められており、結果として1回の接種になります。

費用は、定期接種として対象期間内に市町村の案内に沿って受ける場合は自己負担なしで受けられるのが一般的です。5歳の誕生日を過ぎると対象期間を外れ、任意接種の扱いとなって全額自己負担になることがあります。費用の枠組みは子どもの予防接種の費用で整理しています。

生後2か月からは5種混合ワクチンやB型肝炎など複数の定期接種が同時に始まります。回数も間隔も異なるため、かかりつけの小児科で記録をまとめておくと管理しやすくなります。

よくある質問

小児用肺炎球菌ワクチンは何歳まで受けられますか?
予防接種法施行令第3条の表は、対象者を「生後二月から生後六十月に至るまでの間にある者」と定めています。生後60か月は5歳にあたるため、5歳の誕生日の前日までが定期接種の対象期間です。
合計で何回受けますか?
初回接種を始めた月齢で変わります。生後2か月から7か月に至るまでに始めた場合は初回3回と追加1回の計4回、生後7か月に至った日の翌日から12か月に至るまでは初回2回と追加1回の計3回、生後12か月に至った日の翌日から24か月に至るまでは2回、生後24か月に至った日の翌日から60か月に至るまでは1回です。
追加接種はいつ受けますか?
予防接種実施規則第17条第2項では、初回接種の最後の注射が終わってから60日以上の間隔をおいた後、かつ生後12か月に至った日以降に1回とされています。2つの条件のうち、遅く満たされたほうが起点になります。
15価と20価はどちらを受けますか?
厚生労働省は、2024年10月以降は原則として沈降20価(PCV20)を使用し、沈降15価(PCV15)も使用可能としています。PCV15で接種を開始した場合は、原則としてPCV15で全ての接種を行うよう案内されています。
間隔が空いてしまいました。回数は変わりますか?
予防接種実施規則第17条には、生後12か月を超えて2回目の注射を行った場合は3回目の注射を行わないというただし書きがあります。進み方によって合計回数は変わります。組み直しは母子健康手帳の接種記録をもとに判断されるため、自治体または接種を受ける医療機関にご確認ください。
費用はかかりますか?
定期接種として対象期間内に市町村の案内に沿って受ける場合は、自己負担なしで受けられるのが一般的です。5歳の誕生日を過ぎて対象期間を外れると任意接種の扱いとなり、全額自己負担になることがあります。

本記事は制度・費用・選び方に関する一般的な情報の整理であり、医学的助言ではありません。個別の症状・治療については、かかりつけ医・受診先の医療機関にご相談ください。制度・金額は記事内記載の時点の情報です。

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