乳児・幼児は何歳まで?|法律ごとに定義が違う理由を条文で整理

執筆: 産婦人科と小児科の教科書 編集部

「乳児は何歳まで」「幼児は何歳まで」の答えは、どの法律の話かで変わります。母子保健法と児童福祉法では乳児は1歳未満・幼児は満1歳から小学校就学の始期までですが、道路交通法では幼児は6歳未満・児童は6歳以上13歳未満です。新生児・妊産婦・未熟児の定義とあわせて条文で整理します。

母子保健法の定義(健診・母子健康手帳はこれ)

乳幼児健診や母子健康手帳など、母子保健の場面で使われるのは母子保健法第6条の定義です。

用語条文上の定義
乳児一歳に満たない者
幼児満一歳から小学校就学の始期に達するまでの者
新生児出生後二十八日を経過しない乳児
妊産婦妊娠中又は出産後一年以内の女子
未熟児身体の発育が未熟のまま出生した乳児であつて、正常児が出生時に有する諸機能を得るに至るまでのもの
保護者親権を行う者、未成年後見人その他の者で、乳児又は幼児を現に監護する者

ポイントは2つあります。新生児は乳児の一部(生後28日までの乳児)であること、そして幼児の終わりは「何歳」ではなく「小学校就学の始期」で区切られていることです。誕生日ではなく就学で切り替わるため、同じ6歳でも入学前は幼児、入学後は幼児ではなくなります。

児童福祉法も同じ定義。ただし「少年」が続く

保育所や児童手当など、児童福祉の場面で使われるのは児童福祉法第4条です。乳児・幼児の定義は母子保健法と一致しています。

用語条文上の定義
児童満十八歳に満たない者
乳児満一歳に満たない者
幼児満一歳から、小学校就学の始期に達するまでの者
少年小学校就学の始期から、満十八歳に達するまでの者

つまりこの法律では、18歳未満をまとめて「児童」と呼び、その内訳が乳児・幼児・少年という構造になっています。「児童=小学生」という日常語の感覚とはずれるので注意が必要です。

道路交通法では意味がまるで違う

ところが道路交通法第14条第3項では、同じ言葉がまったく別の年齢で定義されています。

用語道路交通法の定義児童福祉法の定義
幼児六歳未満の者満1歳から小学校就学の始期まで
児童六歳以上十三歳未満の者満18歳に満たない者

道路交通法の「幼児」には0歳児も含まれます(児童福祉法では0歳は乳児であって幼児ではない)。逆に「児童」は6歳以上13歳未満に限定され、児童福祉法の「18歳未満」よりずっと狭い。

「幼児は何歳まで?」に一つの答えが無いのは、このためです。どの制度の話をしているかで参照する条文が変わります。

迷ったときの見分け方

実務上は、次のように考えると整理しやすくなります。

  • 健診・母子健康手帳・予防接種の案内 → 母子保健法(乳児=1歳未満、幼児=1歳〜就学前)
  • 保育所・児童手当・こども家庭センター → 児童福祉法(同上。18歳未満が児童)
  • チャイルドシート・交通ルール → 道路交通法(幼児=6歳未満)

なお予防接種の対象年齢は、これらの区分とは別に、予防接種法施行令が疾病ごとに「生後○月から生後○月まで」と個別に定めています。「幼児だから対象」といった読み方はできません。詳しくは1歳になったら受ける定期接種で整理しています。

「小児科は何歳まで」は法律で決まっていない

よく一緒に検索されるのが「小児科は何歳まで診てもらえるか」ですが、こちらは乳児・幼児のような法令上の定義がありません。診療科の名称や標榜のルールはありますが、「小児科の患者は何歳まで」と定めた条文は存在しません。

そのため実際の対象年齢は医療機関ごとの方針によって幅があります。考え方と確認のしかたは小児科は何歳まで?で整理しました。

年齢の区切りで手続きが変わるもの

乳児から幼児に変わるタイミング(1歳)と、幼児が終わるタイミング(小学校就学)は、いくつかの手続きの節目と重なります。

  • 1歳 — 麻しん風しん(MR)1期・水痘が定期接種の対象になる。乳幼児健診も1歳6か月児健診へ
  • 就学前 — MR2期の対象が「小学校就学の始期に達する日の一年前の日から前日まで」と、就学日を基準に定められている

このように、制度側が「誕生日」ではなく「就学」を基準にしている場面があるのが乳幼児期の特徴です。案内が届いたら対象期間の起算日を確認してください。

よくある質問

乳児は何歳までですか?
母子保健法第6条では「一歳に満たない者」、児童福祉法第4条では「満一歳に満たない者」と定められています。どちらも1歳未満で一致しています。
幼児は何歳までですか?
母子保健法・児童福祉法では「満1歳から小学校就学の始期に達するまでの者」です。ただし道路交通法では「六歳未満の者」と定義されており、0歳児も含まれます。どの制度の話かで変わります。
新生児と乳児の違いは何ですか?
母子保健法第6条で新生児は「出生後二十八日を経過しない乳児」と定められています。新生児は乳児に含まれる区分で、生後28日を過ぎると新生児ではなくなりますが乳児のままです。
児童福祉法の「児童」は何歳までですか?
満18歳に満たない者です。その内訳が乳児(1歳未満)・幼児(1歳〜就学前)・少年(就学から18歳まで)と定められています。日常語の「児童=小学生」とは範囲が異なります。
妊産婦の定義はありますか?
母子保健法第6条で「妊娠中又は出産後一年以内の女子」と定められています。出産後1年以内であれば妊産婦に含まれます。
小児科は何歳まで診てもらえますか?
乳児・幼児のような法令上の定義はなく、医療機関ごとの方針によって幅があります。受診前に医療機関へ確認してください。

本記事は制度・費用・選び方に関する一般的な情報の整理であり、医学的助言ではありません。個別の症状・治療については、かかりつけ医・受診先の医療機関にご相談ください。制度・金額は記事内記載の時点の情報です。

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