未熟児養育医療とは|母子保健法第20条の対象と給付範囲を条文で確認
養育医療は母子保健法第20条にもとづき市町村が行う未熟児への医療給付です。対象の目安、給付範囲、指定養育医療機関、申請の流れ、自己負担の仕組み、低体重児の届出との違いを条文と通知にもとづいて整理しました。
執筆: 産婦人科と小児科の教科書 編集部
育成医療は、障害者総合支援法が定める「自立支援医療」の一つです。名前の似た養育医療(未熟児養育医療)は母子保健法第20条の制度で、根拠法も対象も異なります。養育医療は未熟児養育医療の解説で整理しています。
| 育成医療 | 養育医療 | |
|---|---|---|
| 根拠 | 障害者総合支援法第52条から第58条、施行令第1条の2第1号 | 母子保健法第20条 |
| 対象 | 児童福祉法第4条第2項の障害児(18歳未満の児童) | 母子保健法第6条第6項の未熟児のうち入院養育が必要なもの |
| 実施主体 | 市町村 | 市町村 |
| 医療機関 | 指定自立支援医療機関(都道府県知事が指定) | 指定養育医療機関(都道府県知事が指定) |
| 自己負担 | 原則1割、所得区分ごとの負担上限月額 | 負担能力に応じて費用を徴収(第21条の4第1項) |
自治体の案内では両方の名前が並ぶことがあります。どちらの制度の話かは、根拠法で見分けてください。
自立支援医療は、障害者総合支援法第5条第25項で「心身の障害の状態の軽減を図り、自立した日常生活又は社会生活を営むために必要な医療であって政令で定めるもの」とされています。政令(施行令第1条の2)は3種類を挙げ、第1号が育成医療です。
障害児のうち内閣府令・厚生労働省令で定める身体障害のある者の健全な育成を図るため、当該障害児に対し行われる生活の能力を得るために必要な医療(施行令第1条の2第1号)
障害児は、法第4条第2項により児童福祉法第4条第2項の障害児を指します。児童は同条第1項で「満十八歳に満たない者」なので、対象は18歳未満です。厚生労働省のページは、障害に係る医療を行わないときは将来障害を残すと認められる疾患がある児童も含むと説明しています。
どの状態が対象になるかは、この記事では扱いません。対象になるかどうかは主治医と市町村に確認してください。18歳になったときの扱いは、確認した範囲では条文に見当たりません。
実施主体は市町村です。支給認定は障害児の保護者の居住地の市町村が行います(法第52条第2項が準用する第19条第2項)。都道府県が行うのは精神通院医療だけです(施行規則第35条第1項)。
法第58条第3項第1号は、自立支援医療費の額を「健康保険の療養に要する費用の額の算定方法の例により算定した額」から、政令で定める額を引いた額としています。ただし、政令で定める額がその算定額の100分の10を超えるときは、100分の10に相当する額を引きます。
つまり自己負担は、総医療費の1割と負担上限月額のうち低いほうです。月の総医療費が3万円で上限月額が5,000円なら、1割の3,000円です。総医療費が100万円なら、1割は10万円なので上限月額の5,000円になります。
保険診療以外の費用の扱いは、条文から読み取れません。医療機関か市町村に確認してください。
上限月額を決めるのは、施行令第35条と附則第12条・第13条です。所得は、医療を受けた月の属する年度(4月から6月は前年度)の市町村民税の所得割の額を、支給認定基準世帯員の分と合算して判定します(施行令第29条)。支給認定基準世帯員は、同じ医療保険に加入する人を指します(施行規則第38条)。
次の表は、2026年9月時点の施行令と、厚生労働省「自立支援医療における利用者負担の基本的な枠組み」から作成しました。区分名は厚生労働省の資料の呼び方です。
| 区分 | 条件(施行令) | 育成医療の上限月額 | 「重度かつ継続」の場合 |
|---|---|---|---|
| 生活保護 | 被保護者など(第35条第5号) | 0円 | 0円 |
| 低所得1 | 世帯が市町村民税非課税で、公的年金等の収入・合計所得金額などの合計が82万6,500円以下(第35条第4号) | 2,500円 | 2,500円 |
| 低所得2 | 世帯が市町村民税非課税で、低所得1以外(第35条第3号) | 5,000円 | 5,000円 |
| 中間所得1 | 所得割の合計が3万3,000円未満 | 5,000円(附則第13条第2項) | 5,000円(第35条第2号) |
| 中間所得2 | 所得割の合計が3万3,000円以上23万5,000円未満 | 1万円(附則第13条第2項) | 1万円(第35条第1号) |
| 一定所得以上 | 所得割の合計が23万5,000円以上 | 対象外(第29条第1項) | 2万円(附則第12条・第13条第2項) |
「重度かつ継続」は、条文では高額治療継続者です。費用が高額な治療を長期間続ける者として、内閣総理大臣と厚生労働大臣が定めるものに当たるという市町村の認定を受けた人です(第35条第1号)。範囲は告示で決まります。該当するかは主治医と市町村に確認してください。
表の「中間所得1」「中間所得2」の育成医療の額と、「一定所得以上」の2万円は、施行令附則の経過的特例です。附則第12条と第13条は、いずれも令和9年3月31日までの間の措置と定めています。
厚生労働省のページによると、この特例は令和6年3月31日までとされていたものが、令和9年3月31日まで延長されました。
確認した範囲では、令和9年4月1日以降の扱いを定めた規定は現行の施行令に見当たりません。その時期の医療を受ける予定がある場合は、厚生労働省のページと市町村の案内で最新の扱いを確認してください。
有効期間は、施行規則第43条で1年以内で、医療を受けることが必要な期間と定められています。期間を過ぎると効力がなくなるため(法第55条)、続けるときは改めて支給認定を受けます。更新の時期や書類は市町村で異なります。
医療機関を変えるときは、変更の申請が必要です(法第56条、施行規則第44条)。自己負担が出るのは有効期間内に指定医療機関で受けた医療です(法第58条第1項)。申請前に受けた医療の扱いは、確認した範囲では条文に見当たりません。受診の前に市町村へ相談してください。指定医療機関の一覧は「都道府県名+指定自立支援医療機関」で検索できます。
育成医療の自己負担は、医療保険の後に残る部分から計算されます。この自己負担分を子ども医療費助成が補うかどうかは、条文からは決まりません。
障害者総合支援法第7条は、政令で定める給付以外でも、国や地方公共団体の負担で自立支援給付に相当する給付が行われたときは、その限度で自立支援給付を行わないと定めています。子ども医療費助成がこれに当たるかどうかについて、確認した範囲では条文に記載が見当たりません。
助成は自治体ごとの制度です。育成医療を使う場合の扱いは、「自治体名+子ども医療費」で公式ページを探し、助成の担当課に確認してください。育成医療の窓口と助成の窓口が別の課の自治体もあります。
本記事は制度・費用・選び方に関する一般的な情報の整理であり、医学的助言ではありません。個別の症状・治療については、かかりつけ医・受診先の医療機関にご相談ください。制度・金額は記事内記載の時点の情報です。
養育医療は母子保健法第20条にもとづき市町村が行う未熟児への医療給付です。対象の目安、給付範囲、指定養育医療機関、申請の流れ、自己負担の仕組み、低体重児の届出との違いを条文と通知にもとづいて整理しました。
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