不妊治療の保険適用|43歳未満・回数の条件と先進医療・助成の関係
2022年4月から人工授精等の一般不妊治療と体外受精・顕微授精等の生殖補助医療が保険適用になりました。生殖補助医療には治療開始時43歳未満という年齢要件と胚移植の回数の上限があります。先進医療の併用と自治体の助成もあわせて整理しました。
執筆: 産婦人科と小児科の教科書 編集部
不妊治療のための休暇は、法律で全国一律に決まっているものではありません。厚生労働省の資料では、不妊治療のための休暇制度は、事業主が労働協約や就業規則に定めて導入する制度として扱われています。労働基準法で定められた年次有給休暇や、生理日の就業が著しく困難な場合の休暇(生理休暇)のように、請求すれば会社が拒めない形の不妊治療休暇は、確認した範囲では見当たりませんでした。
つまり、休暇が使えるかどうか、有給か無給か、何日まで取れるかは、勤め先の就業規則で決まります。まずは自分の会社の就業規則や人事の窓口で、不妊治療に使える制度があるかを確認するのが出発点です。
この記事は制度の整理です。治療の内容や方法、通院の頻度の目安といった医学的な判断には触れません。治療の進め方は、受診先の医師に確認してください。
会社に不妊治療専用の休暇がない場合、法律上の休暇として使えるのは年次有給休暇です。労働基準法第39条第4項は、労働者の過半数で組織する労働組合(ない場合は過半数代表者)との書面による協定があれば、時間を単位として有給休暇を与えることができると定めています。条文では、時間単位で与えられる日数は「五日以内に限る」とされています。
この定めは、使用者が労使協定を結んだ場合に時間単位の付与ができる、という仕組みです。協定がない会社では、時間単位の請求が当然にできるわけではありません。半日単位については、労働基準法の条文には見当たらず、会社の制度として設けられている場合に使えます。
通院のたびに1日休むのが難しい場合は、時間単位や半日単位の年次有給休暇があるかを、就業規則で確認してみてください。
国は、会社に休暇制度を義務づける代わりに、導入を後押しする形をとっています。厚生労働省のページによると、次世代育成支援対策推進法に基づく行動計画策定指針が改正され、行動計画に盛り込むことが望ましい事項として「不妊治療を受ける労働者に配慮した措置の実施」が加わりました(令和3年2月告示、同年4月から適用)。「望ましい事項」という位置づけで、休暇の付与を義務づけるものではありません。
あわせて、2022年4月から「くるみんプラス」などの認定制度があります。厚生労働省が示す不妊治療に関する認定基準は次のとおりです。
| 要件 | 内容 |
|---|---|
| 制度の整備(1) | 不妊治療のための休暇制度(年次有給休暇を除く。多目的休暇や利用目的を限定しない休暇を含む) |
| 制度の整備(2) | 半日または時間単位の年次有給休暇、所定外労働の制限、時差出勤、フレックスタイム制、短時間勤務、テレワークのうちいずれか |
| 方針の周知 | 両立推進の方針と措置の内容を労働者に周知 |
| 理解促進 | 研修などの取組を実施 |
| 相談体制 | 両立支援担当者を選任し、労働者に周知 |
勤め先がこの認定を受けているかどうかは、会社の採用情報や人事の案内で確認できる場合があります。認定を受けていない会社でも、同じような制度を独自に設けていることがあります。
以前は「両立支援等助成金(不妊治療両立支援コース)」という名称でしたが、現在は「不妊治療及び女性の健康課題対応両立支援コース」として実施されています。厚生労働省の両立支援等助成金のご案内ページには、2026(令和8)年度の支給要領(令和8年4月1日時点)が掲載されています。
不妊治療の区分について、支給要領は次のように定めています。
同じ要領には、月経に起因する症状への対応と更年期における心身の不調への対応の区分もあり、それぞれ別の区分として扱われています。
この助成金は事業主に支給されるもので、労働者本人が受け取るものではありません。要件や金額は年度ごとに改正される可能性があるため、会社が検討する場合は都道府県労働局の雇用環境・均等部(室)で最新の内容を確認してください。
厚生労働省は、不妊治療を職場にどう伝えるかの補助として、次の資料を公開しています。
誰に、どこまで伝えるかは本人が決めることです。会社の制度を使うには申し出が必要になるため、申出の窓口(直属の上司か人事か)と、診断書や証明書類の要否を、先に就業規則で確かめておくと進めやすくなります。
治療の費用や保険適用の条件は、不妊治療の保険適用で整理しています。
就業規則に不妊治療の休暇が見当たらない場合は、次の順で確認すると整理しやすくなります。
助成金の支給要領では、失効した年次有給休暇を不妊治療のために利用できる制度や、不妊治療を含む多様な目的で使える休暇も、休暇制度として扱われています。会社に専用の休暇がなくても、こうした制度が使える場合があります。
制度の有無や運用で困ったときは、都道府県労働局の雇用環境・均等部(室)が相談窓口になります。
本記事は制度・費用・選び方に関する一般的な情報の整理であり、医学的助言ではありません。個別の症状・治療については、かかりつけ医・受診先の医療機関にご相談ください。制度・金額は記事内記載の時点の情報です。
2022年4月から人工授精等の一般不妊治療と体外受精・顕微授精等の生殖補助医療が保険適用になりました。生殖補助医療には治療開始時43歳未満という年齢要件と胚移植の回数の上限があります。先進医療の併用と自治体の助成もあわせて整理しました。
生理休暇は労働基準法68条にもとづく休暇で、請求すれば生理日に就業させてはならないとされています。日数を就業規則で限定できないこと、半日・時間単位で取れること、有給か無給かは会社の定めによることを、厚生労働省の解説にもとづいて整理しました。
子の看護休暇は育児・介護休業法第16条の2にもとづく休暇です。2025年4月1日施行の改正で、対象の子が小学校3年生まで広がり、取得事由に学級閉鎖や入園式・卒園式が加わり、勤続6か月未満を労使協定で除外する仕組みが廃止されました。条文と施行規則で確認します。