新生児マススクリーニング|対象20疾患と、生後4〜6日に採血する仕組み

執筆: 産婦人科と小児科の教科書 編集部

新生児マススクリーニング(先天性代謝異常等検査)は、都道府県及び指定都市を実施主体として、すべての新生児を対象に行われている検査です。対象は現在20疾患で、平成29年度に今の範囲になりました。採血の時期、費用の負担の分かれ方(検査費用は公費、採血費用は保護者負担とする例)、里帰り出産のときの扱い、SCID・SMAの実証事業を公的資料で確認します。疾患そのものの説明は扱いません。

誰が実施し、誰が対象なのか

こども家庭審議会成育医療等分科会に提出された資料(令和5年11月22日)では、事業の枠組みが次のように整理されています。

項目内容
実施主体都道府県及び指定都市
検査対象者すべての新生児(出生後28日を経過しない乳児)
検査機関地方衛生研究所等に委託
対象疾患20疾患

市区町村ではなく都道府県・指定都市が実施主体である点が、乳幼児健診(市町村が実施)と違います。実際の採血は出産した医療機関で行われるため、保護者が申し込みに行く仕組みではありません。

根拠となっているのは「先天性代謝異常等検査の実施について」(平成30年3月30日 子母発0330第2号 厚生労働省子ども家庭局母子保健課長通知)で、11の項目にわたって実施の方法が定められています。

対象は20疾患。どう増えてきたか

対象疾患は、内分泌疾患2疾患と、アミノ酸代謝異常、糖代謝異常、脂肪酸代謝異常、有機酸代謝異常の各群で構成されています。それぞれの疾患の内容や症状については、この記事では扱いません。結果について説明が必要になったときは、出産した医療機関と小児科の主治医に確認してください。

20疾患になるまでの経緯は次のとおりです。

時期内容
昭和52年度国庫補助事業として5疾患で開始
平成13年度検査費用を一般財源化(地方交付税措置)
平成23年度タンデムマス法の導入により19疾患へ
平成26年度すべての実施主体でタンデムマス法を導入
平成29年度CPT-2欠損症を追加し20疾患へ

平成13年度に一般財源化されているため、事業の運営は都道府県・指定都市ごとの要綱で決まります。費用や採血の時期の細部が地域で違うのはこのためです。

採血はいつか(千葉県の要綱の例)

採血の時期は実施主体の要綱に定められています。千葉県の「先天性代謝異常等検査事業マニュアル」(平成25年8月・令和5年5月一部改訂)では次のようになっています。

  • 採血の時期は日齢4日から6日(生まれた日を0日と数える)
  • 出生体重が2,000g未満の場合は、日齢4日から6日に1回目を採血し、さらに次のうち最も早い時期に2回目を採血する
    • 生後1か月
    • 体重が2,500gに達したとき
    • 退院のとき

「生まれた日を0日と数える」ため、たとえば1日に生まれた場合の日齢4日は5日になります。出産後の入院期間の中で採血が行われるのが通常の流れです。出産入院の日数の数え方については出産・帝王切開の入院日数にまとめています。

上の日程は千葉県の要綱の内容です。実施主体ごとに定めがあるため、住んでいる地域の取扱いは出産する医療機関か都道府県の母子保健担当に確認してください。

費用は「検査」と「採血」で分かれる

千葉県のマニュアルでは、費用の負担がこう分かれています。

費用負担
検査に要する費用公費負担
採血に要する費用保護者負担(医療機関に支払う)

「検査は無料」と案内されていても、医療機関で採血料の請求があるのはこの分かれ方によります。同マニュアルでは、里帰り出産で県外に居住している人が県内で出産した場合も同じ扱いとされています。

これは千葉県の例です。一般財源化された事業であるため、負担の区分は実施主体ごとに違う可能性があります。金額と支払先は、出産する医療機関に入院の費用の説明を受けるときにあわせて確認してください。里帰り出産の場合は、住んでいる自治体と出産する地域のどちらの制度が適用されるかを先に整理しておくと行き違いが起きにくくなります。

SCID・SMAは実証事業として行われている

20疾患とは別に、重症複合免疫不全症(SCID)と脊髄性筋萎縮症(SMA)については、令和5年度補正予算10億円で実証事業が行われています。資料に示されている枠組みは次のとおりです。

項目内容
実施主体都道府県・指定都市
補助基準額6,000円×実施人数
補助割合国1/2、自治体1/2

実施の要件として、保護者への検査内容の説明と調査研究に活用することの同意取得、国の調査研究との連携、陽性となった場合の説明とカウンセリングおよび治療体制の整備が挙げられています。

実証事業のため、実施しているかどうかは自治体によって違います。受けられるかどうか、費用がかかるかどうかは、出産する医療機関に確認してください。

調べ方と、結果についての相談先

制度の細部は実施主体ごとに決まっているため、確認先は次の順序になります。

  1. 出産する医療機関 … 採血の時期、採血料の金額、実証事業の実施の有無
  2. 都道府県・指定都市の母子保健担当 … 事業の要綱、公費負担の範囲
  3. 母子健康手帳 … 検査の記録欄と地域ごとの案内

検査の結果について説明が必要になったときや、再検査の連絡を受けたときは、出産した医療機関と小児科の主治医に相談してください。この記事は事業の仕組みと費用の枠組みを整理したもので、検査の結果の意味や疾患の内容は扱いません。

生後の健診の受け方は乳児健診の時期と産後2週間健診・1か月健診にまとめています。

よくある質問

新生児マススクリーニングは受けなければいけませんか。
こども家庭審議会の資料では、検査対象者はすべての新生児(出生後28日を経過しない乳児)とされています。実施主体は都道府県及び指定都市で、採血は出産した医療機関で行われます。受けるかどうかの取扱いは実施主体の要綱によるため、出産する医療機関に確認してください。
いつ採血しますか。
千葉県の事業マニュアルでは、日齢4日から6日(生まれた日を0日と数える)とされています。出生体重2,000g未満の場合は、1回目のあと、生後1か月・体重2,500g到達・退院のうち最も早い時期に2回目を採血します。時期は実施主体ごとに定めがあります。
費用はかかりますか。
千葉県の事業マニュアルでは、検査に要する費用は公費負担、採血に要する費用は保護者負担(医療機関に支払う)とされています。一般財源化された事業のため負担の区分は実施主体ごとに違う可能性があり、金額は出産する医療機関に確認してください。
何種類の病気を調べますか。
現在の対象は20疾患です。内分泌疾患2疾患と、アミノ酸代謝異常、糖代謝異常、脂肪酸代謝異常、有機酸代謝異常の各群で構成されています。平成29年度にCPT-2欠損症が追加されて20疾患になりました。
里帰り出産でも受けられますか。
千葉県の事業マニュアルでは、県外に居住している人が県内で出産した場合も、採血に要する費用を医療機関に支払う点は同じ扱いとされています。地域ごとの取扱いは出産する医療機関に確認してください。
SCIDやSMAの検査も一緒に受けられますか。
SCID(重症複合免疫不全症)とSMA(脊髄性筋萎縮症)は、令和5年度補正予算による実証事業として都道府県・指定都市を実施主体に行われています。実施しているかどうかは自治体によって違うため、出産する医療機関に確認してください。

本記事は制度・費用・選び方に関する一般的な情報の整理であり、医学的助言ではありません。個別の症状・治療については、かかりつけ医・受診先の医療機関にご相談ください。制度・金額は記事内記載の時点の情報です。

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