産院の年間分娩件数はどこで調べる?|出産なびの使い方と数字の読み方

執筆: 産婦人科と小児科の教科書 編集部

産院ごとの年間分娩件数は、厚生労働省「出産なび」と、その掲載情報を表示する当サイトの施設ページで確認できます。当サイトが全件集計したところ年間200件以下の施設が39.5%を占めており、この記事では件数の調べ方と、多い・少ないを優劣と読まないための数字の見方を整理します。

年間分娩件数は「出産なび」で公開されている

産院の年間分娩件数は、かつては施設に直接聞くしかない情報でしたが、現在は厚生労働省「出産なび」で公開されています。施設ごとに次の情報が掲載されています。

  • 年間の経腟分娩件数・帝王切開件数(件数の帯で表示)
  • 産科医師数・助産師数などの体制
  • 出産費用の目安と平均入院日数
  • 無痛分娩や助産師外来などの実施状況

出産なびには2024年12月時点で全国2,112施設が掲載されており、厚生労働省の資料によると年間分娩取扱件数21件以上の施設の約99.9%をカバーしています。当サイトの施設ページでも、出産なびに掲載された年間経腟分娩件数などの情報を表示しています(全国の産婦人科を都道府県から探す)。

全国の分布:年200件以下の施設が39.5%

自分の候補の施設の件数が多いのか少ないのか、判断するには全国の分布が要ります。当サイトが出産なびの掲載情報を全件集計したところ、経腟分娩件数がわかる1,857施設の分布は次のとおりでした。

年間経腟分娩件数施設数割合
200件以下734施設39.5%
201〜500件812施設43.7%
501〜1,000件263施設14.2%
1,001件以上48施設2.6%

最も施設数が多い帯は201〜300件(352施設)です。年間200件以下、月に十数件ほどの施設が約4割を占める一方、1,000件を超える施設は2.6%にすぎません。集計の詳細は出産環境白書2026に掲載しています。

件数の多い・少ないは優劣ではない

分娩件数を「実績ランキング」のように読みたくなりますが、この読み方はすすめられません。件数は地域の出生数と施設の役割によって決まるもので、質の点数ではないからです。

  • 出生数の多い都市部の施設は件数が大きくなりやすく、地方では小さくなります
  • リスクの高い妊娠を受け入れる病院と、経過が順調な分娩を担う診療所では役割が異なります
  • 受け入れる件数を絞って運営する方針の施設もあります

当サイトは掲載ポリシーとして施設の序列付けを行っておらず、件数もその施設の規模を知るための事実として掲載しています。「多いから良い・少ないから不安」ではなく、「規模によって体制がどう違うか」を見るのが実用的な読み方です。

規模帯によって体制が違うという事実

当サイトの全件集計では、規模と体制の関係が見えます。分娩取扱施設のうち産科医1人以下の施設が22.3%、10人以上の施設が12.9%で、助産師10人以上の施設は58.3%でした。

体制の違いは、たとえば次の点に表れます。

  • 24時間対応の無痛分娩や院内助産(実施率28.7%)のような取り組みは、一定の人員がいないと体制を組めません
  • 小規模の施設では、健診から分娩まで同じ医師・助産師が担当しやすいという違いがあります
  • 緊急時の搬送先や連携の体制は、規模にかかわらず各施設が定めています

どの体制を重視するかは、妊娠の経過と本人の希望によって変わります。件数は体制の違いを推測する入口として使い、具体的な体制は施設に直接確認してください(産婦人科・産院の選び方)。

数字を見るときの3つの注意

件数を確認するときは、次の3点に注意が必要です。

  • 掲載は申請にもとづき、時点があります — 出産なびへの掲載は施設からの申請・報告によるもので、掲載がないことや数字が古いことが、そのまま実態を意味するとは限りません(公的データで産院を調べるときの注意点
  • 分娩を扱う施設は減り続けています — 厚生労働省「医療施設調査」では、9月中に分娩を実施した施設は2008年の2,567から2023年には1,766へ減りました。数年前の情報のままの場合があります(通っていた産院が分娩をやめたら
  • 件数を優先して遠い施設を選ぶと負担が残ります — 施設選択の理由の1位は距離・通いやすさ(75%以上)です。妊娠後期には健診が週1回になるため、通える範囲で考えることが先です

実際の調べ方の手順

以上を踏まえた現実的な手順は次のとおりです。

  • 手順1:当サイトの都道府県ページで、通える範囲の分娩取扱施設をリストアップする
  • 手順2:出産なびと当サイトの施設ページで、件数・医師数・助産師数・費用の目安をまとめて見る
  • 手順3:候補を2〜3施設に絞り、電話や見学で体制と予約状況を直接確認する

数字はあくまで候補を絞るための道具で、最終的な確認は施設への問い合わせで行ってください。地域ごとの施設数や出産費用の傾向は全国の統計データにまとめています。

よくある質問

産院の年間分娩件数はどこで調べられますか?
厚生労働省「出産なび」に、施設ごとの年間経腟分娩件数・帝王切開件数が件数帯で掲載されています。当サイトの施設ページでも出産なびの掲載情報を表示しています。掲載がない場合は施設へ直接お問い合わせください。
分娩件数が多い施設のほうが良いのですか?
件数は地域の出生数や施設の役割によって決まるもので、優劣の指標ではありません。規模によって体制が違うという事実として読み、自分が重視する条件との相性で判断することをおすすめします。
平均的な産院の分娩件数はどのくらいですか?
当サイトの集計では、最も施設数が多い帯は年間201〜300件で、200件以下の施設が39.5%、1,001件以上の施設は2.6%でした。平均の一点ではなく分布で見るほうが実態に合います。
出産なびに件数が載っていない施設は分娩をやめたのですか?
そうとは限りません。掲載は施設からの申請・報告にもとづくためです。分娩の取り扱い状況は施設へ直接ご確認ください。
この集計の出所はどこですか?
厚生労働省「出産なび」の掲載情報(2026年7月取得)を当サイトが全件集計したものです。経腟分娩件数の掲載がある1,857施設が分母で、詳細は出産環境白書2026に掲載しています。

本記事は制度・費用・選び方に関する一般的な情報の整理であり、医学的助言ではありません。個別の症状・治療については、かかりつけ医・受診先の医療機関にご相談ください。制度・金額は記事内記載の時点の情報です。

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