妊婦健診の費用と補助券|自治体で違う助成の仕組みと自己負担
妊婦健診は保険適用外ですが、自治体から交付される補助券で費用の大部分をまかなえます。標準的な14回の健診スケジュール、補助券で足りない場合の自己負担、里帰り出産や引っ越しのときの手続きを整理しました。
執筆: 産婦人科と小児科の教科書 編集部
妊婦健診(妊婦健康診査)の回数は、厚生労働省告示「妊婦に対する健康診査についての望ましい基準」(平成27年3月31日厚生労働省告示第226号)に示されています。この告示は市町村が妊婦健診をどう行うかの基準を定めたもので、第1で「妊婦一人につき、出産までに14回程度行うものとする」と書かれています。
妊婦健診そのものの根拠は母子保健法第13条で、市町村は「必要に応じ、健康診査を行い、又は健康診査を受けることを勧奨しなければならない」と定めています。1歳6か月児健診・3歳児健診のように第12条で市町村に実施義務が課されている健診とは、位置づけが違います。妊婦健診は、義務として課された健診ではなく、市町村が費用を負担して受けやすくしている健診です。
告示第1は、妊娠週数の区分ごとに次の頻度を示しています。
| 妊娠週数 | 健診の頻度 |
|---|---|
| 妊娠初期〜妊娠23週 | おおむね4週間に1回 |
| 妊娠24週〜妊娠35週 | おおむね2週間に1回 |
| 妊娠36週〜出産 | おおむね1週間に1回 |
この区分どおりに数えていくと、初回から出産までで14回程度になります。条文が「おおむね」としているとおり、実際の日程は受診先の診療日や妊婦さん一人ひとりの状態によって前後します。
14回は市町村が費用を負担する回数の目安として示されているもので、受診できる回数の上限ではありません。予定日を過ぎたときや、医師の判断で間隔が短くなるときには、回数が14回を超えることがあります。
逆に、妊娠に気づいた時期が遅かった場合や、転院・里帰りで受診先が変わった場合には、14回に満たないこともあります。告示は「望ましい基準」であって、一人ひとりの受診回数を決めるものではありません。
次の健診がいつになるかは、そのつど受診先の医師の指示に従ってください。
告示第1の2は、「市町村は、妊婦一人につき14回程度の妊婦健康診査の実施に要する費用を負担するものとする」と定めています。実際には、妊娠届を出して母子健康手帳を受け取るときに受診票(補助券)が渡され、それを使って受診する仕組みが一般的です。
ただし、券でまかなわれる金額・枚数・対象項目は市町村ごとに違います。全額が無料になるとは限らず、差額を窓口で支払う地域もあります。金額の考え方は妊婦健診の費用と補助券で詳しく扱っています。
告示第3の2は市町村に対して、「里帰り先等において妊婦健康診査を受診する妊婦の経済的負担の軽減を図るため、妊婦の居住地以外の病院、診療所又は助産所と事前に契約を行う等の配慮をするよう努める」ことを求めています。努力義務として書かれている部分です。
そのため実務では、住民票のある市町村の受診票が他県ではそのまま使えず、いったん自費で支払って後から払い戻す(償還払い)扱いになる地域があります。申請の期限や必要書類も市町村ごとに違います。里帰りを決めた時点で居住地の窓口に確認しておくと、あとの手続きが楽になります。手順は里帰り出産の完全ガイドにまとめています。
「14回」は最後の層(制度)の話です。自分の健診が何回になるかは、最初の層(受診先の指示)で決まります。数字が合わないときは、どの層の話をしているのかを分けて考えると整理しやすくなります。
本記事は制度・費用・選び方に関する一般的な情報の整理であり、医学的助言ではありません。個別の症状・治療については、かかりつけ医・受診先の医療機関にご相談ください。制度・金額は記事内記載の時点の情報です。
妊婦健診は保険適用外ですが、自治体から交付される補助券で費用の大部分をまかなえます。標準的な14回の健診スケジュール、補助券で足りない場合の自己負担、里帰り出産や引っ越しのときの手続きを整理しました。
里帰り出産の帰省・帰宅時期の目安、転院と分娩予約の段取り、妊婦健診補助券の他県利用と償還払い、出産育児一時金の扱い、夫側の準備までを公的情報をもとに解説します。制度は2026年7月時点の情報です。
妊娠がわかったら市区町村に妊娠届を出し、母子健康手帳と妊婦健診の補助券(受診票)を受け取ります。届出のタイミング・窓口・持ち物と、2025年4月に始まった妊婦のための支援給付(5万円+こどもの人数×5万円)の申請までを整理しました。