助産師外来・院内助産とは|実施率と、選択肢としての考え方

執筆: 産婦人科と小児科の教科書 編集部

助産師外来は助産師が妊婦健診の一部を担当する仕組み、院内助産は医療機関の中で助産師が中心となって分娩を担う体制です。当サイトが厚生労働省「出産なび」の掲載情報を全件集計したところ、助産師外来を設けている施設は55.0%、院内助産を実施している施設は28.7%でした。この記事では両者の違いと、施設を選ぶ際にどう見ればよいかを整理します。

助産師外来と院内助産の違い

言葉が似ているため混同されやすいのですが、内容は異なります。

助産師外来院内助産
場面妊婦健診分娩
内容助産師が健診の一部を担当し、相談や保健指導を行う医療機関の中で、助産師が中心となって分娩を担う体制
医師の関与必要に応じて医師の診察につなぐ異常があれば医師が対応する体制のもとで行われる

どちらも医療機関の中の仕組みである点が重要です。院外の助産所(助産院)とは異なり、医師や設備がある環境で行われます。

いずれも医学的な適応の判断が伴うため、対象となるかどうかは施設と医師の判断によります。詳しくは受診先にご確認ください。

全国の実施状況:助産師外来55.0%、院内助産28.7%

当サイトでは、厚生労働省「出産なび」の掲載情報を全件集計しています。分娩を取り扱う施設のうち、実施状況は次のとおりでした。

取り組み実施率施設数
助産師外来55.0%864/1,571施設
院内助産28.7%479/1,668施設

助産師外来は半数を超える施設が設けている一方、院内助産は3割弱にとどまります。分母は各項目が掲載されている施設数です。

この集計は行政も同じ形では公表しておらず、当サイトの独自集計です。詳細は出産環境白書2026に掲載しています。

助産師外来のどこが違うのか

助産師外来の特徴として、施設側の案内でよく挙げられるのは次の点です。

  • 相談の時間が取りやすい — 医師の診察より時間の枠が長く設定されていることが多く、不安や疑問を話しやすい
  • 継続して同じ助産師が担当することがある — 顔なじみができ、産後まで相談しやすくなる
  • 生活面の相談がしやすい — 食事、体重、仕事との両立、上の子のことなど

一方で、すべての健診が助産師外来になるわけではありません。多くの施設では医師の診察と交互に組み合わせる形を取っており、超音波検査など医師が行う回もあります。妊娠の経過によっては対象外になることもあります。

健診をどう受けるかは施設によって運用が異なるため、気になる場合は分娩予約の前に確認しておくとよいでしょう。

院内助産という選択肢

院内助産は、医療機関の中で助産師が中心となって分娩を担う体制です。医師や設備がある環境で行われるため、異常が生じた場合には医師が対応します

実施率が28.7%にとどまるのは、体制を組むために一定数の助産師が必要になるためです。当サイトの集計では、助産師が10人以上いる施設は58.3%(助産師数が判明した1,836施設中1,070施設)でしたが、そのすべてが院内助産を実施しているわけではありません。

院内助産を希望する場合、対象となる条件(妊娠の経過が順調であること等)が施設ごとに定められています。希望しても医学的な判断で対象外になることがある点は、あらかじめ理解しておく必要があります。

施設を選ぶときにどう見るか

助産師外来や院内助産の有無は、施設を選ぶ際の判断材料のひとつになります。ただしこれがあるから良い施設、ないから悪い施設という話ではありません

見るべきなのは、自分が何を重視するかとの相性です。

  • 相談の時間を多く取りたい — 助産師外来がある施設は選択肢になります
  • できるだけ自然な経過で出産したい — 院内助産を実施している施設が候補になります。ただし対象条件があります
  • 持病がある、経過に不安がある — 医師の診察の体制を優先して考えるほうが適している場合があります

いずれの場合も、最優先は通いやすさであることが調査で一貫して示されています(施設選択の理由の1位は距離・通いやすさで75%以上)。助産師外来の有無だけで遠い施設を選ぶ判断は、後期の週1回の健診を考えると負担になることがあります。

確認の仕方

実施の有無は厚生労働省「出産なび」で確認できますが、掲載は施設からの申請にもとづくため、掲載がないことが実施していないことを意味するとは限りません。最終的には施設に直接確認してください。

電話や健診で聞く場合は、次のように尋ねると必要な情報が得られます。

助産師外来はありますか。健診はどのくらいの頻度で助産師さんが担当されますか。

院内助産は行っていますか。対象になる条件はありますか。

通える範囲の施設は全国の産婦人科を都道府県から探すページから確認できます。産後のサポート体制まで含めて確認したい場合は産後2週間健診・1ヶ月健診もあわせてご覧ください。

よくある質問

助産師外来では医師の診察は受けられないのですか?
多くの施設では医師の診察と組み合わせて運用されており、必要に応じて医師の診察につなぐ体制になっています。すべての健診が助産師外来になるわけではありません。運用は施設ごとに異なります。
院内助産と助産所(助産院)はどう違いますか?
院内助産は医療機関の中の体制で、異常があれば同じ施設の医師が対応します。助産所は独立した施設で、医療行為には制限があり、連携する医療機関との協力体制のもとで運営されます。
院内助産を希望すれば必ず利用できますか?
できるとは限りません。妊娠の経過などの条件が施設ごとに定められており、医学的な判断で対象外になることがあります。希望する場合は早めに相談してください。
助産師外来があるかどうかはどこで調べられますか?
厚生労働省「出産なび」に実施状況が掲載されています。ただし掲載は施設からの申請にもとづくため、最終的には施設に直接確認することをおすすめします。
実施率のデータの出所はどこですか?
厚生労働省「出産なび」の掲載情報を当サイトが全件集計したものです。分母は各項目が掲載されている施設数で、集計時点は2026年7月です。詳細は出産環境白書2026に掲載しています。

本記事は制度・費用・選び方に関する一般的な情報の整理であり、医学的助言ではありません。個別の症状・治療については、かかりつけ医・受診先の医療機関にご相談ください。制度・金額は記事内記載の時点の情報です。

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