バースプランの書き方|項目例・例文の型・提出タイミングを解説

執筆: 産婦人科と小児科の教科書 編集部

バースプランとは、出産に対する希望や不安を医師・助産師と共有するための計画シートです。書き方に決まった正解はなく、陣痛中・分娩時・産後の3つの場面に分けて箇条書きにすると整理しやすくなります。ただし医療安全上すべての希望が叶うとは限らず、施設によって対応できる範囲も異なります。この記事では、記入項目の具体例と例文の型、施設への確認の仕方、提出タイミングまでをまとめて解説します。

バースプランとは?何のためにあるのか

バースプランとは、「どんなお産にしたいか」という希望や不安を妊婦さんと家族が書き出し、医師や助産師と共有するための計画シートです。多くの分娩取扱施設では、妊婦健診や入院準備の案内とあわせて専用の用紙が配られ、記入した内容をもとに助産師との面談や健診の場で話し合いが行われます。

目的は大きく2つあります。1つめは、医療者との認識合わせです。立ち会い出産の希望や産後の母子同室・授乳の方針などを事前に文字で伝えておくことで、出産当日のすれ違いを減らせます。実際に、バースプランをもとに妊婦さんと医療者が話し合うことで、出産への知識を深め、お互いの理解を確認できると位置づけている施設もあります。2つめは、妊婦さん自身の心の準備です。希望を書き出す過程で「自分は何を大切にしたいのか」「何が不安なのか」が整理され、出産の流れを学ぶきっかけにもなります。

バースプランの提出は義務ではなく、書き方に決まった正解もありません。用紙の様式や運用は施設ごとに異なり、質問に答える形式のところもあれば、自由記述のところもあります。これから産院を選ぶ段階の方は、全国の産婦人科を都道府県から探すページで、お住まいの地域の分娩取扱施設を確認できます。

バースプランに書ける項目の具体例(陣痛中・分娩時・産後)

バースプランに書く内容は自由ですが、「陣痛中」「分娩時」「産後」の3つの場面に分けて考えると整理しやすくなります。実際の施設の用紙でも、産前の過ごし方から授乳まで、場面ごとに希望を書く形式が多く見られます。

場面書ける項目の例
陣痛中過ごし方の希望(音楽・アロマなど)、腰のマッサージや声かけのお願い、痛みへの不安と対処の相談、無痛分娩の希望、飲食・姿勢の希望、家族の付き添い
分娩時立ち会い出産の希望(誰に・どの場面まで)、分娩姿勢の希望、処置の前に説明してほしいこと、生まれた直後に抱っこしたい・パートナーがへその緒を切りたいなどの希望
産後母子同室・別室の希望、授乳の方針(母乳・ミルク・混合)、面会に関する希望、赤ちゃんのお世話指導のペース、休息の取り方、写真など記念に関する希望

このほか、「上の子の立ち会いはできるか」「会陰切開についての考えを聞いてほしい」「痛みや処置についてその都度説明してほしい」といった相談ごとを書く方もいます。予定帝王切開の場合でも、手術前後の説明のタイミングや産後の過ごし方など、書ける項目は多くあります。

注意したいのは、無痛分娩や立ち会い出産のように、施設の体制によって対応の可否が分かれる項目です。これらはバースプランに書く前の段階、できれば分娩予約の時点で対応の有無を確認しておくと、あとから予定を変えずに済みます。

例文の型:そのまま使える3つの書き方テンプレート

バースプランは長文で書く必要はありません。1項目につき1〜2文の箇条書きで十分です。何をどう書けばよいか迷ったときは、次の3つの型に当てはめると手が動きやすくなります。

  1. 希望+理由の型:「〇〇を希望します。△△だからです」。記入例:「夫の立ち会いを希望します。腰をさすってもらうと気持ちが落ち着くためです」
  2. 不安+お願いの型:「〇〇が不安です。△△してもらえると安心します」。記入例:「痛みに弱いことが不安です。処置の前に一声かけてもらえると安心します」
  3. 優先順位の型:「一番大切にしたいのは〇〇です。状況によっては△△はなくても構いません」。記入例:「一番の希望は産後すぐに赤ちゃんを抱っこすることです。分娩姿勢へのこだわりはありません」

書くときのコツは、希望をすべて盛り込もうとしないことです。項目が多すぎると本当に大切にしたいことが伝わりにくくなるため、「これだけは」という希望に優先順位をつけ、それ以外は「お任せします」と書く方が、医療者との対話はスムーズになります。

また、バースプランは要望書ではなく、医療者に自分を知ってもらうための「自己紹介と相談のメモ」に近いものです。夫婦で内容を話し合いながら書くと、立ち会いや産後のサポートについてパートナー側の心構えも整理できます。

すべての希望が通るわけではない:医療安全とのバランス

正直にお伝えすると、バースプランに書いた希望がすべて実現するとは限りません。分娩の経過は事前に予測できず、母子の安全が何よりも優先されるためです。急に帝王切開へ切り替わる場合や、吸引分娩などの医療処置が必要になる場合には、バースプランの内容よりも医学的な判断が優先されます。立ち会い出産についても、緊急時や状況によっては退室をお願いされ、立ち会いができないことがあると明示している施設があります。

だからこそ、バースプランには「予定通りにいかなかった場合」の希望も書いておくことをおすすめします。たとえば「帝王切開になった場合も、可能であれば早めに赤ちゃんと対面したいです」「処置が必要になったときは、簡単でよいので状況を説明してほしいです」といった書き方です。予期しない展開になったときこそ、事前に共有した希望が支えになります。

バースプランは契約書ではなく、医療者との話し合いの出発点です。実現が難しい希望については、多くの場合その理由を説明してもらえます。内容について気になることがあれば、妊婦健診や助産師外来の際にかかりつけの施設へ相談してみてください。

施設によって対応可否が異なる:確認の仕方

バースプランの運用や、個々の希望に対応できるかどうかは、施設の体制によって大きく異なります。たとえば無痛分娩は麻酔体制のある施設に限られますし、立ち会い出産の範囲(誰まで・どの場面まで)、母子同室の運用、フリースタイル分娩への対応なども施設ごとにさまざまです。バースプランの用紙自体を用意していない施設もあります。

確認の手段としては、次のような方法があります。

  • 妊婦健診や助産師外来で直接質問する(最も確実です)
  • 母親学級・両親学級で説明を聞く
  • 施設の公式サイトの分娩・入院案内ページを確認する
  • 厚生労働省のサイト「出産なび」で施設情報を調べる

「出産なび」は厚生労働省が運営する、全国の産院の出産費用とサービスがみえるサイトで、2026年7月時点で全国の分娩を取り扱う約2,000件の施設(病院・診療所・助産所)について、所在地や医師数、年間分娩件数といった基礎情報のほか、助産ケアや付帯サービスの実施の有無、分娩にかかる費用の目安が掲載されています。産院選びの段階からバースプランで叶えたいことを意識しておくと、施設選びの軸が明確になります。地域ごとの施設数の傾向は全国の統計データでも確認できます。

提出タイミングと提出までの流れ

バースプランの提出時期は施設の案内に従うのが基本ですが、一般的な流れは次の通りです。妊娠27週頃の妊婦健診でバースプラン用紙を案内する施設もあり、妊娠中期から後期にかけて記入・提出するケースが多く見られます。

  1. 妊娠中期:施設からバースプランの案内・用紙を受け取る。案内がない場合は、健診時に「バースプランはありますか」と確認する
  2. 妊娠後期の初め頃:夫婦で話し合いながら記入する。無痛分娩や立ち会いなど対応可否が分かれる項目は、このタイミングまでに確認しておく
  3. 妊婦健診・助産師外来で提出:内容をもとに助産師・医師とすり合わせを行い、難しい項目があれば代替案を相談する
  4. 入院時〜分娩時:最終確認。バースプランの内容は分娩中でも変更可能としている施設もあり、気持ちが変わったら遠慮なく伝えて問題ありません

里帰り出産を予定している場合は注意が必要です。分娩する施設での健診開始が妊娠後期になるため、バースプランについて話し合える期間が短くなりがちです。帰省前に分娩予定の施設へバースプランの運用を問い合わせておくと、転院後の流れがスムーズになります。出産は準備することが多い時期ですが、バースプランはその準備を整理する道具でもあります。完璧なものを目指すより、いまの気持ちを素直に書くことから始めてみてください。

よくある質問

バースプランは提出が必須ですか?
義務ではありません。施設によっては用紙を用意していないところもあります。書かない場合でも、立ち会いや母子同室など希望があることは妊婦健診の際に口頭で伝えられます。書くこと自体が出産のイメージづくりに役立つため、簡単な箇条書きだけでも作ってみる価値はあります。
夫・パートナーと一緒に書いたほうがいいですか?
一緒に書くことをおすすめします。立ち会い出産や産後のサポートはパートナーの動きに直接関わるため、話し合いながら書くことでお互いの認識を揃えられます。「陣痛中に何をしてほしいか」を具体的に共有しておくと、当日パートナーが動きやすくなるという利点もあります。
帝王切開の予定でもバースプランは書けますか?
書けます。手術前後の説明のタイミング、産後の赤ちゃんとの対面や面会、授乳の方針など、帝王切開でも希望を伝えられる場面は多くあります。手術の進め方に関わる希望は対応できる範囲が施設によって異なるため、記入前に予定している施設へ確認してみてください。
一度提出したバースプランは後から変更できますか?
変更を相談できるのが一般的で、分娩中でも内容を変更できるとしている施設もあります。妊娠経過や気持ちの変化に応じて希望が変わるのは自然なことなので、妊婦健診や助産師外来のタイミングで遠慮なく相談してください。

本記事は制度・費用・選び方に関する一般的な情報の整理であり、医学的助言ではありません。個別の症状・治療については、かかりつけ医・受診先の医療機関にご相談ください。制度・金額は記事内記載の時点の情報です。

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